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最終更新日 2024/10/19
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◎ 令和元年度試験(第14回)過去問

※ 法改正により問題及び解説を変更しました。

 問題34 改題


AのBに対する金銭債権を「甲債権」とし、BのAに対する金銭債権を「乙債権」とする。甲債権と乙債権の相殺に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① A及びBは、甲債権と乙債権とを相殺しようとする場合、その相手方に対して相殺の意思表示をしなければならないが、その意思表示には、条件又は期限を付することができる。

② 甲債権と乙債権の双方の債務の履行地が異なる場合、A及びBは、甲債権と乙債権とを相殺することができない。

③ 甲債権の弁済期が11月1日であり、乙債権の弁済期が同年11月25日である場合、Aは、同年11月1日の時点で、乙債権についての期限の利益を放棄して、甲債権と乙債権とを相殺することができる。

④ 甲債権が貸付金債権であり、乙債権が悪意による不法行為に基づく損害賠償債権である場合、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができる。





 問題34 解答・解説

「相殺(民法)」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP215・216参照)

(第8版の合格教本をお持ちの方は、P213・214参照)


①:×(適切でない)
 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってしなければなりません。
相殺の意思表示には、条件または期限を付することができません

※ 改訂第9版合格教本P216「(2)相殺の方法および効力」参照。

②:×(適切でない)
 双方の債務の履行地が異なる場合でも、相殺をすることができます


※ 改訂第9版合格教本P216の表「▼相殺の可否」の「履行地が異なる場合」の欄を参照。

③:○(適切である)
 自働債権(相殺する当事者側の債権)の弁済期が到来していれば、自己の債務(相手の債権)について期限の利益を放棄して、相殺することができます。
本肢では、11月1日にAの甲債権の弁済期が到来するため、その時点で、Aは、自己の債務(Bの乙債権)について期限の利益を放棄して、相殺することができます。


※ 改訂第9版合格教本P215「(1)相殺の概要」参照。

④:×(適切でない)
 
悪意による不法行為により生じた損害賠償債権を受働債権として、加害者側から相殺することはできません。よって、加害者であるAから相殺することはできず、本肢は誤っている記述です。


※ 改訂第9版合格教本P216の表「▼相殺の可否」の「不法行為等と相殺」の欄を参照。



正解:③



※ 参考までに、以下に、本試験問題を原文のまま掲載しました。
 通常は読む必要はありません。


令和元年度試験・問題34

AのBに対する金銭債権を「甲債権」とし、BのAに対する金銭債権を「乙債権」とする。甲債権と乙債権の相殺に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① A及びBは、甲債権と乙債権とを相殺しようとする場合、その相手方に対して相殺の意思表示をしなければならないが、その意思表示には、条件又は期限を付することができる。

② 甲債権と乙債権の双方の債務の履行地が異なる場合、A及びBは、甲債権と乙債権とを相殺することができない。

③ 甲債権の弁済期が11 月日であり、乙債権の弁済期が同年11 月25 日である場合、Aは、同年11 月日の時点で、乙債権についての期限の利益を放棄して、甲債権と乙債権とを相殺することができる。

④ 甲債権が貸付金債権であり、乙債権が不法行為に基づく損害賠償債権である場合、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができる。




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