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最終更新日 2024/8/22
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財務・会計

 財務・会計に関する知識は、顧客の信用調査の際に必要となるだけでなく、貸金業者自らの財務状況・営業成績を知る上で役に立ちます。

 貸金業務取扱主任者資格試験の試験科目「財務及び会計に関すること」の分野では、(1)家計診断及び(2)財務会計の基礎的知識・理解が求められます。
 
 (1)家計診断では、次の事項が問われます。
   @家計収支の考え方(収支項目・可処分所得・貯蓄と負債)
   A個人の所得と関係書類(申告所得・源泉徴収票等の関係書類)

 (2)財務会計では、次の事項が問われます。
   @企業会計の考え方(企業会計原則)
   A財務諸表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書・その他)

 試験問題全50問のうち「財務・会計に関する分野」からの出題は、3問です。そのため、簿記・会計の基本事項を押さえておけばよいでしょう。


 ※ 試験で問われやすいポイントは、赤字にしています。
 ※ 各項目別に過去問を掲載しています。


 家計収支の考え方

過去問→平成21年第2回・問題49

可処分所得
 
 可処分所得収入 税金(所得税・住民税) 及び 社会保険料

 可処分所得は手取り収入であり、自由に処分できる所得と言えます。



 個人の所得と関係書類

過去問→平成25年・問題49平成26年・問題49平成27年・問題48令和4年・問題48

所得

★所得の種類
@利子所得・・・預貯金の利子などの所得
A配当所得・・・剰余金の配当などの所得
B不動産所得・・・不動産などの貸付けにより生じる所得
C事業所得・・・自営業などから生ずる所得
D給与所得・・・給料、賞与などの所得
E退職所得・・・退職金などの所得
F山林所得・・・山林(立木)の譲渡などによる所得
G譲渡所得・・・不動産や株式などを譲渡したことによる所得
H一時所得・・・生命保険の一時金などの所得
I雑所得・・・原稿料、公的年金などの所得

★所得控除の種類
 所得控除には、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除などがあります。

源泉徴収票

 源泉徴収票では、年収や事業者等が徴収した所得税の額を知ることができます。
 源泉徴収票は、所得税法により作成が義務づけられており、雇用主が作成・交付します。

源泉徴収票の見方
@「支払金額」・・・1月から12月までの年収です。
A「給与所得控除後の金額」・・・支払金額から給与所得控除を差し引いた額です。
B「所得控除の額の合計額」・・・社会保険料控除などの所得控除額の合計額です。
C「源泉徴収税額」・・・Aの額からBの額を差し引いた額に税率をかけた額であり、給与等から天引きした所得税の合計額になります。

※ 源泉徴収票に、住民税の額は記載されません。



 企業会計原則

過去問→平成21年第1回・問題48平成21年第2回・問題50平成26年・問題48平成27年・問題49平成28年・問題48平成29年・49年平成30年・問題49令和1年・問題48令和2年・問題49令和3年・問題50、令和4年・問題50、令和5年・問題48

 貸借対照表や損益計算書の構成分類もこの企業会計原則に基づくものです。

一般原則(7つ)

真実性の原則 企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。
正規の簿記の原則 企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
資本取引・損益取引区分の原則 資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。
明瞭性の原則 企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。
継続性の原則 企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。
保守性の原則 企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。
単一性の原則 株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。



 貸借対照表

過去問→平成24年・問題49平成26年・問題50平成27年・問題50平成28年・問題49平成29年・問題50平成30年・問題48、令和2年・問題50、令和3年・問題48

貸借対照表の意義
 会計年度末における企業の財政状態を示す書類。
貸借対照表の構成
 資産負債及び純資産の各部により構成されている。

 資産は、さらに流動資産固定資産繰延資産に区分される。
 固定資産は、さらに有形固定資産無形固定資産及び投資その他の資産に区分される。

 負債は、さらに流動負債固定負債に区分される。

 株式会社における純資産の部は、株主資本評価・換算差額等及び新株予約権に区分される。

★貸借対照表(勘定式)★
資産の部 負債の部
<流動資産>
 現金・預金受取手形売掛金未収収益前払金、前払費用1年以内ものに限る)、短期貸付金

<固定資産>

・有形固定資産建物土地
・無形固定資産:のれん(営業権)、借地権(地上権を含む)、特許権商標権ソフトウェア
・投資その他の資産:投資有価証券出資金長期貸付金

<繰延資産>
 開業費

<流動負債>
 支払手形買掛金、未払金、未払費用前受金前受収益リース債務・引当金(1年以内ものに限る)、短期借入金

<固定負債>
 社債長期借入金等の長期債務
負債合計
純資産の部
株主資本(資本金、新株式申込証拠金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式、自己株式申込証拠金)
評価・換算差額等
新株予約権
純資産合計
資産合計 負債および純資産合計

※ 純資産の部の欄は、株式会社における区分の例です。



 損益計算書

過去問→平成25年・問題48平成28年・問題50平成29年・問題48平成30年・問題50令和2年・問題48、令和4年・問題49、令和5年・問題49

損益計算書の意義
 一会計期間における企業の経営成績を示す書類。
損益計算書の構成
 収益及び費用により構成されている。
損益計算書の利益区分(5つ)
 @売上総利益=売上高−売上原価
 A営業利益=売上総利益−(販売費及び一般管理費)
 B経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用
 C税引前当期純利益=経常利益+特別利益−特別損失
 D当期純利益=税引前当期純利益−(法人税、住民税及び事業税)

※ 当期純利益のことを、税引後当期純利益と表現することもあります。


 キャッシュフロー計算書

過去問→平成21年第1回・問題49の選択肢3、平成21年第2回・問題48平成21年第4回・問題49令和3年・問題49、令和5年・問題50

 上場企業にはキャッシュ・フロー計算書の作成が義務づけられていますが、すべての企業にその作成が義務づけられているわけではありません。

キャッシュフロー計算書の意義
 一会計期間における資金(現金及び現金同等物)の増減(収入・支出)を示す書類。
キャッシュフロー計算書の表示区分
 企業活動を「営業活動」「投資活動」「財務活動」に区分し、各区分の資金の収入・支出を表示する。


営業活動による
キャッシュ・フロー

営業利益又は営業損失の計算の対象となった取引に係るキャッシュ・フロー、並びに、投資活動及び財務活動以外の取引に係るキャッシュ・フローが掲記される。

投資活動による
キャッシュ・フロー

有価証券の取得及び売却による収支、有形固定資産の取得及び売却による収支、投資有価証券の取得及び売却による収支、貸付け及び貸付金の回収による収支等に係るキャッシュ・フローが掲記される。

財務活動による
キャッシュ・フロー

短期借入れ及びその返済による収支、長期借入れ及びその返済による収支、社債の発行及び償還による収支、株式の発行及び自己株式の取得による収支等に係るキャッシュ・フローが掲記される。





 会社法(会計帳簿)

過去問→平成21年第1回・問題49の選択肢4

会計帳簿の作成・保存の義務
 株式会社は、適時に正確な会計帳簿を作成し、その帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければなりません。



 会社法(計算書類等)

過去問→平成22年・問題49

計算書類等の作成・保存の義務
 
 計算書類とは、貸借対照表損益計算書その他会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいいます。

 株式会社は、各事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成し、計算書類を作成した時から10年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければなりません。

計算書類等の監査

 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含み、会計監査人設置会社を除く。)では、計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、監査役の監査を受けなければなりません。

 取締役会設置会社では、上記の監査を受け、さらに取締役会の承認を受けなければなりません。

計算書類等の定時株主総会への提出等

 監査役設置会社(取締役会設置会社を除く。)では、取締役は、監査役の監査を受けた計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、または提供しなければなりません。

 取締役会設置会社では、取締役は、取締役会の承認を受けた計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、または提供しなければなりません。



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