①:○(適切である)
「施行日前に債権が生じた場合」又は「施行日前に債権発生の原因である法律行為がされた場合」には、その債権の消滅時効期間については、原則として、改正前民法が適用されます。
本肢では、施行前に締結された契約に基づく債権であるため、「改正前民法」が適用されます。
なお、改正前民法では、「債権は、10年間行使しないときは、消滅する」とされていました(改正前民法167条1項)。
※ 「法律行為」とは、法律効果の発生を目的としてなされる行為であり、その代表例は契約です。そのため、法律行為という言葉がでてきたときには、契約を思い浮かべると、理解がしやすいです。
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②:×(適切でない)
施行日前に「債権の譲渡の原因である法律行為」がされた場合におけるその債権の譲渡については、改正前民法が適用されます。そして、「債権の譲渡の原因である法律行為」とは、債権譲渡契約などをいいます。
一方、債権譲渡(の契約)が施行以降に行われた場合には、改正民法が適用されます。
本肢では、債権譲渡が施行日以降に行われているため、「改正民法」が適用されます。
そして、改正民法では、「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない」としており、譲渡禁止の特約があっても債権譲渡は「有効」です。
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③:○(適切である)
定型約款については,施行日より前に契約が締結された場合であっても、書面又は電磁的記録によって反対の意思表示をしなければ、施行日後は「改正民法」が適用されます。
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④:○(適切である)
改正民法では、「時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため第147条第1項各号(裁判上の請求等)又は第148条第1項各号(強制執行等)に掲げる事由に係る手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から3か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」としています。
本肢では、改正民法の施行日以降に、天災その他避けることのできない事変が生じたというのであるから、「改正民法」が適用されます。
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