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最終更新日 2024/7/21
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◎ 令和3年度試験(第16回)過去問


 問題28

意思表示に関する次の①~④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Aは、実際には購入するつもりがないのに、Bとの間で、Bが所有する甲建物を購入する旨の売買契約を締結した。この場合において、Aには甲建物を購入する意思がないことをBが知っていたときは、Aは、Bに対し、当該売買契約が心裡留保により無効であることを主張することができない。
② Aは、実際には甲建物をBに売却するつもりがないのに、Bと通謀して、Bに甲建物を売却する旨の虚偽の売買契約を締結し、AからBへの甲建物の所有権移転登記を経た。その後、Bがこの事情を知らない第三者Cに甲建物を売却した場合、Aは、Cに対し、AとBとの間の売買契約が虚偽表示により無効であることを対抗することができない。
③ Aは、Bが所有する甲建物の近隣にショッピングモールが新設される計画を知り、Bとの間で、甲建物を購入する旨の売買契約を締結した。しかし、当該ショッピングモール新設の計画は、当該売買契約の締結前に既に中止となっていたが、Aはそれを知らなかった。この場合、Aは、当該ショッピングモール新設が甲建物の売買契約締結の基礎とされていることをBに表示していたか否かにかかわらず、錯誤を理由として、当該売買契約を取り消すことができる。
④ Aは、Bの強迫により、Bとの間で、自己が所有する甲建物をBに売却する旨の売買契約を締結した後、Bは、強迫の事実を知らないCに甲建物を売却した。その後、Aが強迫による意思表示を理由としてAとBとの間の売買契約を取り消した場合、Aは、Cに対し、その取消しを対抗することができない。





 問題28 解答・解説

「意思表示(民法)」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP164~P167参照)

(第8版の合格教本をお持ちの方は、P162~P165参照)


①:×(適切でない)
 心裡留保の場合、原則として有効ですが、
相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、または知ることができたときは、その意思表示は無効です。本肢において、相手方Bは、Aが購入することがAの真意でないことを知っていたというのであるから、契約は無効であり、AはBに対して無効を主張することができます。よって、本肢は誤りです。

※ 改訂第9版合格教本P164「(1)心裡留保」参照。

②:○(適切である)
 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効となります。もっとも、虚偽表示による無効は、「善意の第三者」(事情を知らない第三者のこと)に対抗することはできません。よって、事情を知らないCに無効であることを対抗することができないとする本肢は、正しい記述です。

※ 改訂第9版合格教本P164「(2)通謀虚偽表示」参照。

③:×(適切でない)
 本肢では、ショッピングモールの新設が住宅を購入する動機となっています。このように契約をする動機に、錯誤(事実と認識が異なること)があることを、「動機の錯誤」といいます。
動機の錯誤の場合、その事情が契約の基礎とされていることが表示されていたときに限り、意思表示を取り消すことができます。そのため、「ショッピングモール新設が甲建物の売買契約締結の基礎とされていることをBに表示していたとき」に限り、取り消すことができます。よって、本肢は、「Bに表示していたか否かにかかわらず」取り消すことができるとしている点で、誤りです。

※ 改訂第9版合格教本P165枠内の※印参照。

④:×(適切でない)
 
強迫による意思表示の取消しは、「善意の第三者」にも対抗することができます。そのため、本肢において、Aは、強迫の事実を知らないCに対しても、契約の取消しを対抗することができます。よって、本肢は誤りです。

※ 改訂第9版合格教本P166・167「(3)強迫」参照。


正解:②



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