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最終更新日 2023/8/15
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◎ 令和4年度試験(第17回)過去問


 問題16

AとBとの間の複数の営業的金銭消費貸借契約(以下、本問において、「第一契約」、「第二契約」又は「第三契約」という。)に関する次のa~dの記述のうち、利息制限法上、その内容が適切なものの個数を①~④の中から1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

a Aは、元本を95万円及び利息を利率年1割8分(18%)とする第一契約を締結し95万円をBに貸し付けた後、その1か月後に第一契約に基づく債務がまったく弁済されていない時点において元本を9万円及び利息を利率年2割(20%)とする第二契約を締結し9万円をBに貸し付けた。この場合、第一契約及び第二契約における利息の約定は、年1割5分(15%)を超過する部分に限り無効となる。

b Aは、元本を30万円及び利息を利率年1割8分(18%)とする第一契約を締結し30万円をBに貸し付けた後、第一契約に基づく債務の残高が9万円である時点において、元本を5万円及び利息を利率年2割(20%)とする第二契約を締結し5万円をBに貸し付けた。この場合、第二契約における利息の約定は、年1割8分(18%)を超過する部分に限り無効となる。

c Aは、元本を50 万円及び利息を利率年1割8分(18%)とする第一契約を締結し50万円をBに貸し付けた後、第一契約に基づく債務の残高が5万円である時点において、元本を3 万円及び利息を利率年2割(20%)とする第二契約を締結し3万円をBに貸し付けた。この場合、第二契約における利息の約定は、年1割8分(18%)を超過する部分に限り無効となる。

d Aは、元本を50万円及び利息を利率年1割6分(16%)とする第一契約を締結し50万円をBに貸し付けた後、第一契約に基づく債務の残高が45万円である時点において、元本を5万円及び利息を利率年1割8分(18%)とする第二契約を締結し5万円をBに貸し付けると同時に、元本を50万円及び利息を利率年1割6分(16%)とする第三契約を締結し50 万円をBに貸し付けた。この場合、第二契約及び第三契約のいずれの利息の約定も、年1割5分(15%)を超過する部分に限り無効となる。

① 1 個   ② 2 個   ③ 3 個   ④ 4 個





 問題16 解答・解説

「利息の制限(利息制限法)」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP131・132参照)

(第8版の合格教本をお持ちの方は、P131・132参照)

<ポイント>
 利息制限を計算する場合の元本額について
 
①同一の貸金業者から重ねて貸付けを受けたとき
→「既に貸付けを受けた残元本の額とその貸付けを受けた元本額との合計額」を元本の額とみなす。
 
②同一の貸金業者から同時に複数の貸付けを受けたとき
→「複数の貸付けを受けた元本の額の合計額」を元本の額とみなす。

※ 具体例は、合格教本で説明しています。

<利息制限法の制限利率>
 元本の額が10万円未満の場合・・・・・・・・・・・・・・・・ 年20%
 元本の額が10万円以上100万円未満の場合・・・・・ 年18%
 元本の額が100万円以上の場合・・・・・・・・・・・・・・・ 年15%


a:×(適切でない)
 同一の貸金業者から重ねて貸付けを受けた場合、「
既に貸付けを受けた残元本の額とその貸付けを受けた元本額との合計額」を元本の額とみなして、その利息の上限を計算します(上記ポイント①)。
 本肢において、第一契約の残存元本額は95万円であり、第二契約の元本は9万円であり、その合計額は104万円です。
 この合計額は
100万円以上であるので、第二契約の上限利息は年15%となり、これを超過する部分は無効となります。しかし、第一契約の上限利率は、その後に第二契約が行われた場合であっても変わりません
 よって、第一契約の上限利率は年18%のままであり、「第一契約及び第二契約における利息の約定は、年1割5分(15%)」となっている本肢は、誤りです


※ 改訂第9版合格教本P131「(1)同一の貸金業者から重ねて貸付けを受けた場合」参照。

b:○(適切である)
 本肢において、第一契約の残存元本額は9万円であり、第二契約の元本は5万円であり、合計額は14万円です(上記ポイント①)。
 この合計額は
10万円以上100万円未満であるから、第二契約の利息制限法上の上限利率は年18%であり、これを超過する部分は無効となります。

※ 改訂第9版合格教本P131「(1)同一の貸金業者から重ねて貸付けを受けた場合」参照。

c:×(適切でない)
 本肢において、第一契約の残存元本額は5万円であり、第二契約の元本は3万円であり、合計額は8万円です(上記ポイント①)。
 この合計額は
10万円未満であるから、第二契約の利息制限法上の上限利率は年20%であり、これを超過する部分は無効となります。
 「年1割8分(18%)」を超過する部分に限り無効としている本肢は、誤りです。


※ 改訂第9版合格教本P131「(1)同一の貸金業者から重ねて貸付けを受けた場合」参照。

d:○(適切である)
 同一の貸金業者から同時に複数の貸付けを受けたときは、「
複数の貸付けを受けた元本の額の合計額」を元本の額とみなします(上記ポイント②)。
 第一契約の残存元本額は45万円、第二契約の元本は5万円、第三契約の元本は50万円であり、合計額は100万円です。この額は100万円以上であるから、第二契約および第三契約の利息制限法上の上限利率は年15%であり、これを超過する部分は無効となります。

※ 改訂第9版合格教本P132「(2)同一の貸金業者から同時に複数の貸付けを受けた場合」参照。


正解:②



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