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最終更新日 2024/8/16
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◎ 令和5年度試験(第18回)過去問


 問題27

AとBとの間の複数の営業的金銭消費貸借契約(以下、本問において、「第一契約」、「第二契約」又は「第三契約」という。)に関する次の①~④の記述のうち、利息制限法上、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Aは、Bとの間で、元本を10万円とし利息を年1割8分(18%)とする営業的金銭消費貸借契約(第一契約)を締結し10万円をBに貸し付けた。Aは、Bが第一契約に基づく債務を完済した後に、Bとの間で元本を5万円とし利息を年2割(20%)とする営業的金銭消費貸借契約(第二契約)を締結し5万円をBに貸し付けた。この場合、第二契約における利息の約定は、有効である。

② Aは、Bとの間で、元本を20万円とし利息を年1割8分(18%)とする営業的金銭消費貸借契約(第一契約)を締結し20万円をBに貸し付けると同時に、元本を80万円とし利息を年1割5分(15%)とする営業的金銭消費貸借契約(第二契約)を締結し80万円をBに貸し付けた。この場合、第一契約における利息の約定は、年15%を超過する部分に限り無効となる。

③ Aは、Bとの間で、元本を60万円とし利息を年1割8分(18%)とする営業的金銭消費貸借契約(第一契約)を締結し60万円をBに貸し付けた。Aは、第一契約に基づく債務の元本残高が30万円である時点において、Bとの間で元本を80万円とし利息を年1割8分(18%)とする営業的金銭消費貸借契約(第二契約)を締結し80万円をBに貸し付けた。この場合、第二契約における利息の約定は、年1割5分(15%)を超過する部分に限り無効となる。

④ Aは、Bとの間で、元本を50万円とし利息を年1割8分(18%)とする営業的金銭消費貸借契約(第一契約)を締結し50万円をBに貸し付けた後、まだ、BがAに対して第一契約に係る債務を一切弁済していない時点で、Bとの間で、元本を5万円とし利息を年2割(20%)とする営業的金銭消費貸借契約(第二契約)を締結しBに5万円を貸し付けると同時に、元本を50万円とし利息を年1割8分(18%)とする営業的金銭消費貸借契約(第三契約)を締結しBに50万円を貸し付けた。この場合、第二契約、第三契約における利息の約定のうち、第二契約における年1割8分(18%)を超過する部分の利息の約定に限り無効となる。





 問題27 解答・解説

「利息の制限(利息制限法)」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP131・132参照)

(第8版の合格教本をお持ちの方は、P131・132参照)

<ポイント>
 利息制限を計算する場合の元本額について
 
①同一の貸金業者から重ねて貸付けを受けたとき
→「既に貸付けを受けた残元本の額とその貸付けを受けた元本額との合計額」を元本の額とみなす。
 
②同一の貸金業者から同時に複数の貸付けを受けたとき
→「複数の貸付けを受けた元本の額の合計額」を元本の額とみなす。

※ 具体例は、合格教本で説明しています。

<利息制限法の制限利率>
 元本の額が10万円未満の場合・・・・・・・・・・・・・・・・ 年20%
 元本の額が10万円以上100万円未満の場合・・・・・ 年18%
 元本の額が100万円以上の場合・・・・・・・・・・・・・・・ 年15%


①:○(適切である)
 同一の貸金業者から重ねて貸付けを受けた場合、「
既に貸付けを受けた残元本の額とその貸付けを受けた元本額との合計額」を元本の額とみなして、その利息の上限を計算します(上記ポイント①)。
 もっとも、本肢において第一契約の残存元本額はないため、第一契約を考慮する必要はありません。
 第二契約の元本額は5万円であり、この額は
10万円未満であるので、第二契約の利息制限法上の上限利息は年20%となり、これを超過する部分は無効となります。
 第二契約における利息の約定は年20%ですので、すべて有効です。


※ 改訂第9版合格教本P131「(1)同一の貸金業者から重ねて貸付けを受けた場合」参照。

②:○(適切である)
 同一の貸金業者から同時に複数の貸付けを受けたときは、「複数の貸付けを受けた元本の額の合計額」を元本の額とみなします(上記ポイント②)。
 第一契約の元本額は20万円、第二契約の元本額は80万円であり、合計額は100万円です。この額は
100万円以上であるから、
第一契約および第二契約の利息制限法上の上限利率は年15%であり、これを超過する部分に限り無効となります。
 よって、第一契約における利息の約定は、年15%を超過する部分に限り無効となります。


※ 改訂第9版合格教本P132「(2)同一の貸金業者から同時に複数の貸付けを受けた場合」参照。

③:○(適切である)
 本肢において、第一契約の残存元本額は30万円であり、第二契約の元本は80万円であり、合計額は110万円です(上記ポイント①)。
 この合計額は
100万円以上であるから、第二契約の利息制限法上の上限利率は年15%であり、これを超過する部分は無効となります。
 よって、第二契約における利息の約定は、年15%を超過する部分に限り無効となります。

※ 改訂第9版合格教本P131「(1)同一の貸金業者から重ねて貸付けを受けた場合」参照。

④:×(適切でない)
 肢において、第一契約の残存元本額は50万円であり、第二契約の元本は5万円であり、第二契約と同時に締結された第三契約の元本は50万円であり、その合計額は105万円です(上記ポイント①&ポイント②の合わせ技)。
 この合計額は
100万円以上であるから、第二契約及び第三契約の利息制限法上の上限利息は年15%であり、これを超過する部分は無効となります。
 よって、第二契約及び第三契約における約定は、年15%を超過する部分に限り無効となります。

※ 改訂第9版合格教本P131・132参照。



正解:④



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