予想問題 |
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貸金業者であるA社は、個人顧客であるBとの間で元本を50万円とし利息を年1割8分(18%)とする貸付けに係る契約(以下、本問において「第一貸付契約」という)を締結している。その後、Bが第一貸付契約に基づく債務を完済する前に、A社は、Bとの間で新たに貸付けに係る契約(以下、本問において「第二貸付契約」という)を締結しようとしている。この場合に関する次の①~④の記述のうち、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。なお、本問における各貸付けに係る契約は、それぞれ完全施行日後の利息制限法(以下、本問において「利息制限法」という)における営業的金銭消費貸借契約に該当するものとする。
① 第一貸付契約に基づく債務の残存元本額が10万円である時点において、A社とBとの間で元本を100万円とし利息を年1割5分(15%)として第二貸付契約を締結した場合、利息制限法上、第一貸付契約における利息の約定のうち年1割5分(15%)を超過する部分は無効となる。
② 第一貸付契約に基づく債務の残存元本額が30万円である時点において、A社とBとの間で元本を70万円とし利息を年1割8分(18%)として第二貸付契約を締結した場合、利息制限法上、第二貸付契約における利息の約定のうち年1割5分(15%)を超過する部分は無効となる。
③第一貸付契約に基づく債務の残存元本額が30万円である時点において、A社とBとの間で元本を50万円とし利息を年1割8分(18%)として第二貸付契約を締結すると同時に、別途、元本を100万円とし利息を年1割5分(15%)として貸付けに係る契約を締結した場合、利息制限法上、第二貸付契約における利息の約定のうち年1割5分(15%)を超過する部分は無効となる。
④ 第一貸付契約に基づく債務の残存元本額が3万円である時点において、A社とBとの間で元本を10万円とし利息を年1割8分(18%)として第二貸付契約を締結すると同時に、別途、元本を5万円とし利息を年2割(20%)として貸付けに係る契約(以下、本問において「第三貸付契約」という)を締結した場合、利息制限法上、第三貸付契約における利息の約定のうち年1割8分(18%)を超過する部分は無効となる。
「利息の制限(利息制限法)」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP130~132参照)
(第8版の合格教本をお持ちの方は、P130~132参照)
<ポイント>
利息制限を計算する場合の元本額について
①同一の貸金業者から重ねて貸付けを受けたとき
→「既に貸付けを受けた残元本の額とその貸付けを受けた元本額との合計額」を元本の額とみなす。
②同一の貸金業者から同時に複数の貸付けを受けたとき
→「複数の貸付けを受けた元本の額の合計額」を元本の額とみなす。
※ 具体例は改訂第9版合格教本で説明しています。
<利息制限法の制限利率>
元本の額が10万円未満の場合・・・・・・・・・・・・・・・・ 年20%
元本の額が10万円以上100万円未満の場合・・・・・ 年18%
元本の額が100万円以上の場合・・・・・・・・・・・・・・・ 年15%
①:×(適切でない)
第一貸付契約は元本が50万円であり、10万円以上100万円未満であるから、年18%が上限利息となります。第一貸付契約の上限利息は、その後に第二貸付契約が行われた場合であっても、変わりません。
本肢は、第一貸付契約の上限利息を年15%としている点が適切ではありません。
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②:○(適切である)
第一貸付契約の残存元本額は30万円であり、第二貸付契約の元本は70万円であり、その合計額は100万円です(ポイント①)。
この額は100万円以上であるから、第二貸付契約の上限利息は年15%となります。
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③:○(適切である)
第一貸付契約の残存元本額は30万円であり、第二貸付契約の元本は50万円であり、第三貸付契約の元本は100万円であり、その合計額は180万円です(ポイント①&ポイント②の合わせ技)。
この額は100万円以上であるから、第二貸付契約及び第三貸付契約の上限利息は年15%となります。
※ 理解しやすいように、解説では、選択肢③の元本100万円(年15%)の貸付契約を第三貸付契約としました。
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④:○(適切である)
第一貸付契約の残存元本額は3万円であり、第二貸付契約の元本は10万円であり、第三貸付契約の元本は5万円であり、その合計額は18万円です(ポイント①&ポイント②の合わせ技)。
この額は10万円以上100万円未満であるから、第二貸付契約及び第三貸付契約の上限利息は年18%となります。
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正解:①
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