予想問題 |
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貸金業者であるA社は、個人顧客であるBとの間で元本を70万円とし利息を年1割 分(18%)とする貸付けに係る契約(以下、本問において「本件貸付契約」という)を締結し、Bに70万円を貸し付けた。ところが、Bは約定の返済期日を経過しても債務を弁済しない。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。
① A社は、Bが返済期日に債務を弁済しないことによりA社が被った損害の額を証明しなければ、Bに対して債務不履行に基づく損害賠償を請求することができない。
② A社が簡易裁判所に貸金返還請求訴訟を提起する場合、A社は、当該簡易裁判所に訴状を提出するか、又は口頭で訴えを提起することができる。
③ A社が簡易裁判所に貸金返還請求訴訟を提起した場合、当該簡易裁判所は、必ず口頭弁論を経て判決を下さなければならず、口頭弁論期日においてA社及びBに和解を勧告することはできない。
④ A社が、本件貸付契約に基づく債務の履行をBに求めるために民事調停を申し立てる場合、当事者間に特段の約定がなければ、A社は、自己の営業所又は事務所の所在地を管轄する簡易裁判所に民事調停の申立てをしなければならない。
「債務不履行(民法)」「民事訴訟法」「民事調停法」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP208、P252~254参照)
(第8版の合格教本をお持ちの方は、P206、P250~252参照)
①:×(適切でない)
貸付契約において、借主が負う債務は金銭債務です。金銭債務には特則があり、金銭債務の不履行の場合には、債権者は損害を証明することなく、債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができます。
よって、貸主(債権者)Aは、自己の被った損害の額を証明しなくても、借主(債務者)Bに対して債務不履行に基づく損害賠償を請求できます。
※ 改訂第9版合格教本P208「(4)金銭債務の特則」参照。
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②:○(適切である)
簡易裁判所に訴えを提起する場合には、訴状を提出するほか、口頭で訴えを提起することもできます。
※ 改訂第9版合格教本P253「(3)訴状の提出・審査・送達」参照。
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③:×(適切でない)
裁判所は、いつでも和解を勧告することができます。このことは、簡易裁判所であっても同じです。
なお、判決は必ず口頭弁論を経て下さなければならないとされています。
※ 判決によらない訴訟の終了(和解など)については、改訂第9版合格教本P254参照。
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④:×(適切でない)
民事訴訟においては、原則として、相手方(被告)の所在地の裁判所に訴えを提起しなければならないとされています(第8版合格教本P250「②訴えの提起」参照)。
もし、原告の本社が東京で、被告が北海道にいる場合、いきなり訴えられ、東京での裁判を強いられては、被告はたまりません。そこで、原則として被告の所在地の裁判所に訴えを提起しなければならないことになっているのです。
民事調停も、民事訴訟の場合と同様に、原則として、相手方の住所・居所、営業所等を管轄する簡易裁判所に申立てをしなければならないとされています。
よって、Aが民事調停を申し立てる場合、当事者間に特段の約定がなければ、相手方Bの住所または居所の所在地を管轄する簡易裁判所に申立てをしなければなりません。
※ 民事調停については、改訂第9版合格教本P255参照。
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正解:②
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