予想問題 |
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Aは、Bが所有する甲土地をBから2,000万円以下で購入する旨の代理権をCに授与した。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。
① 民法上、Cが、Aの代理人として、Aのためにすることを示さないでBとの間で甲土地の売買契約を締結した場合、Bが、当該契約を締結するに際し、当該契約がAのためにされたものであることを知っていたときであっても、甲土地の売買契約はCのためにしたものとみなされる。
② Cは、Aから甲土地の購入について代理権を授与されている一方で、Bからも甲土地の売却について代理権を授与されていた。この場合において、Cが、A及びBの事前の許諾を得ることなく、A及びBの双方の代理人として、甲土地をAに3,000万円で売却する旨の契約を締結したときは、Cの本件行為は無権代理行為となる。
③ Cは、Bとの間で甲土地の売買契約を締結するに当たり、Aの許諾を得ていなければ、たとえやむを得ない事由があっても、第三者であるDを本件売買契約の復代理人として選任し、Dに甲土地の売買契約を締結させることはできない。
④ CがBと交渉をした結果、甲土地の価格はAが希望する価格以下とならなかったが、甲土地とは別にBが所有している乙土地はAの希望価格で購入できることが判明した。そこでCは、Aの事前の同意を得ることなく、Bとの間で、Aの代理人として乙土地の売買契約を締結した。この場合、Bが、乙土地の売買契約を締結するに際し、Cに乙土地を購入する代理権がないことを知っていたとしても、乙土地の売買契約はAとBとの間に当然にその効力を生ずる。
「代理」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP168~171参照)
(第8版の合格教本をお持ちの方は、P166~169参照)
①:×(適切でない)
代理人が本人の代理人であることを相手方に示さなかった場合、原則として、自己(代理人)のためにしたものとみなされます。ただし、このような場合であっても、相手方が、本人のためにすることを知り、または知ることができたときは、本人のためにしたものとみなされます。
よって、相手方(B)が当該契約が本人(A)のためにされたものであることを知っていたときは、当該契約は本人(A)のためにしたものとみなされます。
※ 改訂第9版合格教本P169「(3)顕名がない場合」参照。
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②:○(適切である)
双方代理(当事者双方の代理人となること)は禁止されており、これを行った場合には、当事者本人の同意がない限り、無権代理行為となります。
よって、代理人(C)が、A及びBの事前の許諾を得ることなく、A及びBの双方の代理人として契約を締結したときは、その行為は無権代理行為となります。
※ 改訂第9版合格教本P171「⑥自己契約・双方代理の禁止」参照。
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③:×(適切でない)
任意代理人(本人が委任した代理人)の場合であっても、本人の許諾またはやむを得ない事情があるときは、復代理人を選任することができます。
よって、代理人(C)は、本人(A)の許諾を得ていなくても、やむを得ない事由があれば、Dを復代理人として選任し、Dに契約を締結させることができます。
※ 改訂第9版合格教本P170「⑤復代理人の選任」参照。
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④:×(適切でない)
代理権のない者がした行為は、無権代理行為であり、無効です。
代理人(C)には乙土地を購入する代理権はないため、代理人(C)の行為は無権代理行為であり、乙の土地の売買契約は無効です。
相手方(B)が代理人(C)に乙土地を購入する代理権がないことを知っていたときは、表見代理が成立することもありません。
※ 改訂第9版合格教本P168「(2)代理権がない場合」参照。
※ 表見代理については、改訂第9版合格教本P169「②表見代理」参照。
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正解:②
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