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最終更新日 2020/3/2
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平成23年度試験(第6回)過去問

※ 法改正により問題及び解説を変更しました。

 問題33 改題 


A社は甲市に店舗を有する家電販売店であり、Bは甲市の遠隔地にある乙市に居住する個人の消費者である。Bは、A社の広告を見てA社が取り扱う商品を購入しようとしている。この場合におけるA社とBとの間の売買契約の成否等に関する次の①~④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Bが、A社に対して、商品を購入する旨の申込みの通知を郵送した後に死亡した場合、民法上、A社が、Bが死亡した事実を知っていたときであっても、当該通知がA社に到達すれば、Bの商品購入の申込みは有効である。

② Bは、A社に対して、商品を購入する旨の申込みの通知を郵送し、当該通知がA社に到達した。その後、A社は、Bに対して、当該申込みに対する承諾の通知を郵送することなく、Bから購入の申込みを受けた商品をBに発送し、当該商品がBに到達した。この場合、民法上、BがA社に対して承諾の通知を必要としない旨の意思表示をしていても、A社が承諾の通知を発信していない以上、A社とBとの間の売買契約が成立することはない。

③ Bは、A社に対して、承諾の期間を定めずに商品を購入する旨の申込みの通知を郵送し、当該通知がA社に到達した後、A社は、Bに対して、当該申込みに対する承諾の通知を郵送したが、Bに到達しなかった。この場合、民法上、A社とBとの間の売買契約は成立する。

④ Bは、A社に対して、商品を購入する旨の申込みの通知を電子メールで送信し、当該メールがA社に到達した後、A社は、Bに対して、承諾の通知を電子メールで送信したがBに到達しなかった。この場合、「民法」上、A社とBとの間の売買契約は成立しない。





 問題33 解答・解説

「契約の成立(民法)」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP156・157参照)
(第8版の合格教本をお持ちの方は、P154・155参照)


①:×(適切でない)
 意思表示は、表意者が通知を発した後に
死亡し、または行為能力の制限を受けたときであっても、原則として、そのためにその効力を妨げられません。しかし、申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、または行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、またはその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を生じません。
 本肢では、相手方A社が、申込者Bが死亡した事実を知っていたのであるから、申込みの通知がA社に到達しても、Bの申込みは無効となります。

※ 改訂第9版合格教本P157「(4)申込者の死亡等」参照。

②:×(適切でない)
 申込者の意思表示または取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立します。
 本肢において、申込者BがA社に対して承諾の通知を必要としない旨の意思表示をしていた場合、A社が商品をBに発送すれば、それは承諾の意思表示と認めるべき事実といえるため、A社が承諾の通知を発信していなくとも、契約は商品発送時に成立します。


※ 改訂第9版合格教本P157「(5)承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期」参照。

③:×(適切でない)
 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(「申込み」のこと)に対して相手方が
承諾をしたときに成立します。そして、意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずるとされています。
 そのため、
契約は、承諾の意思表示が相手方(申込者)に到達した時に成立します
 よって、承諾の通知が申込者Bに到達しなかった場合には、契約は成立しません。

※ 改訂第9版合格教本P156「(1)契約の成立」参照。

④:○(適切である)
 承諾の通知が相手方(申込者)に到達した時に契約が成立します。
 このことは、電子メールで承諾の通知をした場合であっても、同じです。
 よって、承諾の通知が申込者Bに到達しなかった場合には、契約は成立しません。




正解:④



※ 参考までに、以下に、本試験問題を原文のまま掲載しました。
 通常は読む必要はありません。


平成23年度試験・問題33

A社は甲市に店舗を有する家電販売店であり、Bは甲市の遠隔地にある乙市に居住する個人の消費者である。Bは、A社の広告を見てA社が取り扱う商品を購入しようとしている。この場合におけるA社とBとの間の売買契約の成否等に関する次の①~④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Bが、A社に対して、商品を購入する旨の申込みの通知を郵送した後に死亡した場合、民法上、A社が、Bが死亡した事実を知っていたときであっても、当該通知がA社に到達すれば、Bの商品購入の申込みは有効である。

② Bは、A社に対して、商品を購入する旨の申込みの通知を郵送し、当該通知がA社に到達した。その後、A社は、Bに対して、当該申込みに対する承諾の通知を郵送することなく、Bから購入の申込みを受けた商品をBに発送し、当該商品がBに到達した。この場合、民法上、BがA社に対して承諾の通知を必要としない旨の意思表示をしていても、A社が承諾の通知を発信していない以上、A社とBとの間の売買契約が成立することはない。

③ Bは、A社に対して、承諾の期間を定めずに商品を購入する旨の申込みの通知を郵送し、当該通知がA社に到達した後、A社は、Bに対して、当該申込みに対する承諾の通知を郵送したが、Bに到達しなかった。この場合、民法上、A社とBとの間の売買契約は成立しない。

④ Bは、A社に対して、商品を購入する旨の申込みの通知を電子メールで送信し、当該メールがA社に到達した後、A社は、Bに対して、承諾の通知を電子メールで送信したがBに到達しなかった。この場合、「民法」並びに「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」上、A社とBとの間の売買契約は成立しない。



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