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最終更新日 2020/2/11
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第1回~第5回

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 問題30


Aは、Bとの間で、4月15日に、返済期限を同年10月15日と定めて金銭消費貸借契約を締結しBに金銭を貸し付けた。この場合に関する次の①~④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Bは、本件金銭消費貸借契約に基づく借入金債務を担保するために自己の所有する建物に抵当権を設定していたが、10月15日が到来する前にBの過失により当該建物を滅失させた。この場合、Aは、10月15日が到来するまでは、Bに対し借入金債務の弁済を請求することができない。

② Aは、Bが10月15日を経過しても借入金債務を弁済しない場合、相当の期間を定めてBにその履行の催告をすることなく直ちに、本件金銭消費貸借契約の解除をすることができる。

③ Aは、Bに対して本件金銭消費貸借契約に基づく貸金債権を有する一方で、Bに対し弁済期を11月1日とする売買代金債務を負っている。この場合、Aは、10月15日の時点で、Bに対して負う売買代金債務についての期限の利益を放棄して、Bに対して有する貸金債権とBに対して負う売買代金債務とを相殺することができる。

④ Bが10月15日を経過しても借入金債務を弁済しない場合、AとBが、本件金銭消費貸借契約において、貸付けに係る利率及び遅延損害金の額を定めているか否かを問わず、Aは、Bに対し、元本に対する割合を年14.6%として計算した額の損害賠償を請求することができる。





 問題30 解答・解説
「期限の利益の喪失、債務不履行、相殺」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP175、P210、P215、P208参照)
(第8版の合格教本をお持ちの方は、P173、P208、P213、P206参照)

※ 法改正により解説を変更しました


①:×(適切でない)
 次の場合に期限の利益を喪失することがあり、期限の利益を喪失した場合には、期限が到来する前であっても債務者は返済をしなければなりません。
・債務者が
破産手続開始の決定を受けたとき。
・債務者が
担保を滅失させ、損傷させ、または減少させたとき。
・債務者が
担保を供する義務を負う場合にこれをしないとき。
 
 よって、債務者Bが担保である建物を滅失させた場合、期限の利益を喪失するため、返済期限前であっても、債権者AはBに対し弁済を請求することができます。

※ 改訂第9版合格教本P175「(4)期限の利益の喪失」参照。

②:×(適切でない)
 
履行遅滞となった場合(返済期限を経過しても弁済しない場合)、債権者は相当の期間を定めて履行の催告し、その期間内に債務者が履行しないときにはじめて、契約を解除することができます。
 本肢は、「催告をすることなく直ちに」となっている部分が誤りです。

※ 改訂第9版合格教本P210「(2)催告による解除」参照。

③:〇(適切である)
 
自働債権(相殺する当事者側の債権)の弁済期が到来していれば、自己の債務について期限の利益を放棄して、相殺することができます。
 本問では、10月15日にAの債権の弁済期が到来するため、その時点で、Aは、自己の債務について期限の利益を放棄して、相殺することができます。


※ 改訂第9版合格教本P215「③相殺」参照。

④:×(適切でない)
 金銭債務(金銭の給付を目的とする債務)の不履行の損害賠償の額は、約定利率(契約によって定められた利率)がなければ、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率(年3%)によります。
 本肢は、「貸付けに係る利率及び遅延損害金の額を定めているか否かを問わず」「年14.6%」となっている部分が誤りです。

※ 改訂第9版合格教本P208「(4)金銭債務の特則」参照。


正解:③



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