予想問題 |
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※ 法改正により問題及び解説を変更しました。
AはBに対して金銭債権(以下、本問において「甲債権」という。)を有する一方、BもAに対して金銭債権(以下、本問において「乙債権」という。)を有している。この場合に関する次の①~④の記述のうち、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。
① 甲債権が売買代金債権であり乙債権が貸付金債権である場合において、甲債権が時効によって消滅した。この場合であっても、甲債権が時効により消滅する以前に、甲債権と乙債権とが相殺に適するようになっていたときは、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができる。
② 甲債権が悪意による不法行為に基づく損害賠償債権であり乙債権が貸付金債権である場合、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができない。
③ 甲債権が請負代金債権である場合において、Aに対して貸付金債権を有するCの申立てに基づき甲債権が差し押さえられ、その差押命令がBに送達された。その後、BがAに対して貸付金債権である乙債権を取得したときは、Bは、甲債権と乙債権との相殺をもってCに対抗することができない。
④ 甲債権が東京をその債務の履行地とする売買代金債権であり乙債権が大阪をその債務の履行地とする貸付金債権である場合、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができる。
「相殺」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP216参照)
(第8版の合格教本をお持ちの方は、P214参照)
①:〇(適切である)
自働債権が時効で消滅した場合でも、その消滅以前に相殺に適するようになっていたときには相殺できます。
※ 改訂第9版合格教本P216の表「▼相殺の可否」の「時効と相殺」の欄を参照。
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②:×(適切でない)
悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができないとされています。そのため、加害者側から相殺することはできませんが、被害者側から相殺することは禁止されていません。
よって、被害者Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができます。
※ 本肢では「甲債権」が悪意による不法行為に基づく損害賠償債権であるので、Aが被害者、Bが加害者となります。
※ 改訂第9版合格教本P216の表「▼相殺の可否」の「不法行為等と相殺」の欄を参照。
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③:〇(適切である)
差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないとされています。
よって、差押命令の送達によって支払いの差止めを受けた第三債務者Bは、その後、Aに対して債権を取得しても相殺をもって差押債権者Cに対抗することができません。
※ 改訂第9版合格教本P216の表「▼相殺の可否」の「差押えと相殺②」の欄を参照。
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④:〇(適切である)
双方の債務の履行地が異なる場合でも、相殺をすることができます。
※ 改訂第9版合格教本P216の表「▼相殺の可否」の「履行地が異なる場合」参照。
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正解:②
※ 参考までに、以下に、本試験問題を原文のまま掲載しました。 通常は読む必要はありません。
平成25年度試験・問題39
AはBに対して金銭債権(以下、本問において「甲債権」という。)を有する一方、BもAに対して金銭債権(以下、本問において「乙債権」という。)を有している。この場合に関する次の①~④の記述のうち、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。
① 甲債権が売買代金債権であり乙債権が貸付金債権である場合において、甲債権が時効によって消滅した。この場合であっても、甲債権が時効により消滅する以前に、甲債権と乙債権とが相殺に適するようになっていたときは、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができる。
② 甲債権が不法行為に基づく損害賠償債権であり乙債権が貸付金債権である場合、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができない。
③ 甲債権が請負代金債権である場合において、Aに対して貸付金債権を有するCの申立てに基づき甲債権が差し押さえられ、その差押命令がBに送達された。その後、BがAに対して貸付金債権である乙債権を取得したときは、Bは、甲債権と乙債権との相殺をもってCに対抗することができない。
④ 甲債権が東京をその債務の履行地とする売買代金債権であり乙債権が大阪をその債務の履行地とする貸付金債権である場合、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができる。
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