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最終更新日 2022/7/15
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◎ 平成30年度試験(第13回)過去問

※ 法改正により問題及び解説を変更しました。

 問題28 改題 


意思表示に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Aは、実際には購入するつもりがないのに、Bとの間で、Bが所有する自動車を購入する旨の売買契約を締結した。この場合、Aは、BがAには当該自動車を購入する意思がないことを知っていたか否かにかかわらず、Bに対し、当該売買契約が心裡留保により無効であることを主張することができる。

② Aは、Bが所有する土地の近隣に鉄道の駅が新設される計画を知り、Bとの間で、当該土地を購入する旨の売買契約を締結した。しかし、当該駅新設の計画は、当該売買契約の締結前に既に中止となっていたが、Aはそれを知らなかった。この場合、Aは、当該駅新設が当該土地を購入する動機である旨をBに表示していたか否かにかかわらず、錯誤を理由として、当該売買契約を取り消すことができる。

③ Aは、Bの強迫により、Bとの間で、Aが所有する絵画をBに売却する旨の売買契約を締結した。その後、Bは、第三者Cに当該絵画を売却した。この場合において、Aは、強迫による意思表示を理由としてAB間の売買契約を取り消したときは、Cが当該強迫の事実を知っていたか否かにかかわらず、Cに対し、その取消しを対抗することができる。

④ Aは、自己所有の不動産について、Aの債権者による差押えを免れる目的で、実際には売却するつもりがないのに、Bと通謀して、Bに当該不動産を売却したように装った売買契約を締結しその移転登記を経た。その後、Bは、第三者Cに当該不動産を売却した。この場合、Aは、Cが当該通謀の事実を知っていたか否かにかかわらず、Cに対し、AB間の当該売買契約の無効を対抗することができる。





 問題28 解答・解説

「意思表示(民法)」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP164~167参照)

(第8版の合格教本をお持ちの方は、P162~165参照)


①:×(適切でない)
 心裡留保の場合、原則として有効ですが、
相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、または知ることができたときに限り無効になるとされています。よって、相手方Bが知っていたか否かにかかわらずAは無効を主張することができるとする本肢は、誤りです。

※ 改訂第9版合格教本P164「 (1)心裡留保」参照。

②:×(適切でない)
 契約をする動機に、錯誤(事実と認識が異なること)があることを、「動機の錯誤」といいます。動機の錯誤の場合、その事情が契約の基礎とされていることが表示されていたときに限り、意思表示を取り消すことができます
 よって、本肢は、動機が相手方Bに表示されていたか否かにかかわらず錯誤を理由に取り消すことができるとしている点で、誤りです。

※ 改訂第9版合格教本P165「(1)錯誤」参照。

③:○(適切である)
 
強迫による取消しは、「善意の第三者」(事情を知らない第三者のこと)にも対抗することができるとされています。よって、第三者Cが強迫の事実を知っていたか否かにかかわらずAはCに強迫による取消しを対抗することができるとする本肢は、正しい記述です。

※ 改訂第9版合格教本P166・167「(3)強迫」参照。

④:×(適切でない)
 虚偽表示による無効は、「善意の第三者」に対抗することはできません。よって、第三者Cが通謀の事実を知っていたか否かにかかわらずAはCに無効を対抗することができるとする本肢は、誤りです。

※ 改訂第9版合格教本P164「 (2)通謀虚偽表示」参照。


正解:③


※ 参考までに、以下に、本試験問題を原文のまま掲載しました。
 通常は読む必要はありません。


平成30年度試験・問題28

意思表示に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Aは、実際には購入するつもりがないのに、Bとの間で、Bが所有する自動車を購入する旨の売買契約を締結した。この場合、Aは、BがAには当該自動車を購入する意思がないことを知っていたか否かにかかわらず、Bに対し、当該売買契約が心裡留保により無効であることを主張することができる。

② Aは、Bが所有する土地の近隣に鉄道の駅が新設される計画を知り、Bとの間で、当該土地を購入する旨の売買契約を締結した。しかし、当該駅新設の計画は、当該売買契約の締結前に既に中止となっていたが、Aはそれを知らなかった。この場合、Aは、当該駅新設が当該土地を購入する動機である旨をBに表示していたか否かにかかわらず、Bに対し、当該売買契約が錯誤により無効であることを主張することができる。

③ Aは、Bの強迫により、Bとの間で、Aが所有する絵画をBに売却する旨の売買契約を締結した。その後、Bは、第三者Cに当該絵画を売却した。この場合において、Aは、強迫による意思表示を理由としてAB間の売買契約を取り消したときは、Cが当該強迫の事実を知っていたか否かにかかわらず、Cに対し、その取消しを対抗することができる。

④ Aは、自己所有の不動産について、Aの債権者による差押えを免れる目的で、実際には売却するつもりがないのに、Bと通謀して、Bに当該不動産を売却したように装った売買契約を締結しその移転登記を経た。その後、Bは、第三者Cに当該不動産を売却した。この場合、Aは、Cが当該通謀の事実を知っていたか否かにかかわらず、Cに対し、AB間の当該売買契約の無効を対抗することができる。




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