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最終更新日 2010/7/18
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 貸金業務取扱主任者資格試験の試験科目「貸付け・貸付けに付随する取引に関する法令・実務に関すること」の分野では、(1)民事法、(2)民事手続法、(3)倒産法、(4)刑事法の知識・理解が求められます。
 
 (1)民事法では、次の事項が問われます。
   ・中心法令:民法商法会社法(組織形態、代表権、法人格とする)
          手形・小切手法
   ・関連法令:電子記録債権法、動産・債権譲渡特例法、電子契約法、
          不正競争防止法


 (2)民事手続法では、次の事項が問われます。
   ・中心法令:民事訴訟法民事執行法民事保全法
   ・関連法令:ADR法、民事調停法

 (2)倒産法では、次の事項が問われます。
   ・中心法令:破産法民事再生法
   ・関連法令:会社更生法、特定調停法、会社法(清算とする)

 (2)刑事法では、次の事項が問われます。
   ・中心法令:暴力団対策法犯罪収益移転防止法
   ・関連法令:刑法(犯罪の不成立及び刑の減免、未遂罪、共犯、文書偽造罪、
          支払用カード電磁的記録に関する罪、信用・業務に対する罪、
          偽証罪、詐欺罪、背任罪、恐喝罪、横領罪とする)、
          不正アクセス禁止法

   ※ 中心法令とは出題の中心となる法令です。
   ※ 関連法令は「貸金業」に必要な範囲内に限定して出題されます。

 試験問題全50問のうち「取引関係の法令・実務に関する分野」からの出題は14〜18問程度であるとされています。
 範囲が広く、民法等の理解が難しいため、みなさんが苦手とする分野でもありますが、避けては通れない分野です。


以下、
・「民法」「電子契約法」「動産・債権譲渡特例法」「商法」「会社法(法人格・代表権・組織形態+清算一般)」「手形・小切手法」「電子記録債権法」「不正競争防止法」
・「民事訴訟法」「民事執行法」「民事保全法」「ADR法」「民事調停法」
・「破産法」「民事再生法」「会社更生法」「会社法(特別清算)」「特定調停法」
・「暴力団対策法」「犯罪収益移転防止法」「刑法」「不正アクセス禁止法」
の順に解説をします。


 ※ 試験で問われやすいポイントは、赤字にしています。

 民法

契約の成立

★原則
 契約は申込みと承諾の合致(合意)によって成立します。このように、意思表示の合致のみにより成立する契約を諾成契約と言います。

★例外(金銭消費貸借契約の場合)
 消費貸借契約が成立するためには、返還の合意、および、金銭の交付が必要です(民法587条)。このように、意思表示の合致のみならず、目的物の引渡しにより成立する契約を要物契約と言います。

 ※ 契約書の交付がなくても契約は成立します。
   ただし、保証契約の成立には書面(契約書等)の交付が必要です。
民法分野で勉強すべき範囲

 民法において貸金業務に関係する分野には次のようなものがあります。

 1.契約の締結、利息・損害金
  ・契約の成立 ・金銭消費貸借契約
  ・権利能力 ・制限行為能力者 ・意思能力 ・意思の不存在 ・瑕疵ある意思表示
  ・代理(委任も含む) ・条件 ・期限(期限の利益喪失も含む) ・利率 
  ・利息の元本組み入れ ・損害賠償の予定など
 2.金銭債権の履行確保
  ・物権変動と対抗要件
  ・人的担保(連帯債務、保証債務、貸金等根保証契約)
  ・物的担保(質権、抵当権・根抵当権、譲渡担保、仮登記担保、買戻しなど)
  ・責任財産の保全(債権者代位権、詐害行為取消権)
 3.債権の管理・回収
  ・時効(特に消滅時効)
  ・弁済(代物弁済、弁済による代位、供託も含む)
  ・債権譲渡
  ・相殺
  ・債務不履行(金銭債務の特則も含む)
  ・解除
  ・不当利得(不法原因給付も含む)
  ・不法行為
 4.当事者の地位・権利義務の承継
  ・相続
  
  ※ なお、会社法の「法人格の取得・消滅」「株式会社の代表」は、上記1に、
    会社法の「会社法の合併・事業譲渡」は、上記4に関係する分野です。
  ※ ちなみに、売渡担保(買戻しなど)は、貸金業法上の「貸金業」です(同
    法2条1項参照)。


 電子契約法(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)

 ・民法の「瑕疵ある意思表示(錯誤)」と「契約成立」の特例です。

電子契約法の趣旨
 @消費者が行う電子消費者契約の要素に特定の錯誤があった場合及びA隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合に関して、民法の特例を定めています。
@消費者が行う電子消費者契約の要素に特定の錯誤があった場合
 
 民法95条ただし書は適用されません(電子契約法3条本文)。 
 つまり、消費者に重過失がある場合でも無効を主張できます。
 
 例えば、事業者(貸主)の作成したホームページ画面上で、消費者(借主)が10,000円だけ借りる意思だったのにうっかり金額を「100,000円」と入力してしまった場合、要素の錯誤として契約の無効を主張できます。

 ただし、事業者が確認画面を設けるなどしていた場合には、民法95条ただし書の適用があります(電子契約法3条ただし書)。つまり、その場合は契約の無効を主張できません。

※ 電子消費者契約とは消費者事業者との間で電磁的方法により電子計算機の映像面を介して締結される契約をいい、消費者は個人に限られます(電子契約法2条1項)。したがって、ネットオークションなど個人間の取引には適用されません。また、自ら電子メールを書いて申し込んだ場合には、映像面を介して締結されたとはいえないため、適用されません。
A隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合
 
 民法526条1項及び527条は適用されません(電子契約法4条)。

 その結果、電子承諾通知(メールFAXなどによる承諾通知を言います。)では、承諾通知に関する発信主義が適用されない結果、民法97条(隔地者に対する意思表示)の原則(到達主義)に戻り、承諾通知が申込者に到達した時点で契約が成立することになります。
 たとえば、承諾メールを送信した場合、送信した時点では契約成立とはならず、相手方のメールサーバーのメールボックスに記録され、相手方がアクセスすれば受信可能な状態となったときに承諾通知の効果が生じ、その時点で契約成立になると考えられています。

※ 4条の適用は電子消費者契約に限られていないため、個人間の電子承諾通知の場合にも4条が適用され、到達主義となります。


 動産・債権譲渡特例法(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等
 に関する法律)

 民法の「物権変動の対抗要件」と「債権譲渡の対抗要件」の特例です。

動産・債権譲渡特例法の趣旨
 動産・債権譲渡特例法は、法人がする動産及び債権の譲渡の対抗要件に関し、民法の特例等を定めた法律です。

 ※ 法人が譲渡人になる場合にのみ適用される法律です。
 ※ 動産や債権の譲渡担保の場面においてもその利用が期待されている法律です。
動産の譲渡の対抗要件動産譲渡登記ファイルへの登記
 法人が動産を譲渡した場合において、動産の譲渡につき動産譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、当該動産について、民法178条の引渡しがあったものとみなされます。

 ※ 動産・債権譲渡特例法の登記は、商業登記簿には記載されません。
債権の譲渡の対抗要件

★第三者への対抗要件→債権譲渡登記ファイルへの登記
 法人が債権(指名債権であって金銭の支払を目的とするものに限ります。)を譲渡した場合において、当該債権の譲渡につき債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、当該債権の債務者以外の第三者については、民法467条の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなされます。この場合においては、当該「登記の日付」が確定日付となります。

★債務者への対抗要件→登記事項証明書による通知または債務者の承諾
 債権譲渡登記がされた場合において、当該債権の譲渡及びその譲渡につき債権譲渡登記がされたことについて、譲渡人もしくは譲受人が当該債権の債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、または当該債務者が承諾をしたときは、当該債務者に対しても、民法467条の対抗要件を備えたものとみなされます。
登記の存続期間
 動産譲渡登記・債権譲渡登記の存続期間は、原則として10年です。


 商法

 さまざまな民法の特例について規定しています。

貸金業者の貸付行為は商行為に該当するか
 「銀行取引」を営業としてするときには、商行為とされます(商法502条8号)。「銀行取引」とは、預金などの方法によって受取った金銭の転換を媒介する取引をいい、受信行為と与信行為が必要です。そのため、預金の受入れ行為(受信行為)がなければ、貸付行為(与信行為)を営業としてするときであっても商行為に該当しません。よって、貸金業者の貸付行為は商行為に該当しません。
 
 ※ ただし、貸金業者が会社であれば、その貸付行為は商行為に該当します
   (会社法5条)。
貸金業者は商人か
 商人とは、自己の名をもって「商行為」をすることをすることを業とする者をいいます。

 貸金業者が会社である場合→商人である
 貸金業者が会社でない場合→商人ではない
多数当事者間の債務の連帯
 数人が「商行為」となる行為によって債務を負担したときは、その債務は連帯債務となります(商法511条1項)。
 保証人がある場合、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、または、保証が商行為であるときは、連帯保証となります(商法511条2項)。
報酬請求権
 「商人」が営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができます(商法512条)。これは委任の無償性の例外といえます。
利息請求権
 「商人間」において金銭の消費貸借をしたときは、利息を支払う旨の特約がなくても、貸主は法定利息を請求することができます(商法513条)。
商事法定利率
 「商行為」によって生じた債務の法定利率は年6分年6%)です(商法514条)。
商事消滅時効
 「商行為」によって生じた債権は、原則として5年間行使しないときは、時効によって消滅します(商法522条)。


 会社法(法人格・代表権・組織形態+清算一般)

 民法の「契約の当事者(権利能力)」「当事者の変更」に関係する部分です。

会社の成立(法人格の取得)
 会社は定款作成後、設立の登記をすることによって成立します。
 会社は設立登記の時に法人格を取得し、権利義務の帰属主体になります。つまり、設立登記の時点で権利能力を有することになります。
 ただし、会社は当該会社の定款に定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負いますので、会社の権利能力は目的の範囲内に限られます。

 ※ 登記を見ることによって、会社の商号、目的、資本金、代表取締役等を知ることが
   できます。
 ※ 法人格が形骸化している場合や法人格が濫用されている場合には、法人格が
   「法人格否認の法理」により、特定の事案に限って否定されることがあります。
株式会社の代表
 原則として各取締役が株式会社を代表します。
 しかし、代表取締役等が選任されている場合には、その者が株式会社を代表します。
 代表取締役は株式会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有します。
 よって、株式会社に貸付けをする際には、代表取締役を相手に契約を締結することになります。

 ★多額の借財をする場合
  取締役会を設置している株式会社が多額の借財をする場合には、代表取締役は勝手
 にその契約を締結することはできず、取締役会の決議を経なければなりません。
  よって、貸金業者は、株式会社と貸付け契約を締結する際に、場合によって、取締役
 会決議の存在を確認する必要があります。
事業譲渡
 事業を構成する権利義務を「個別的」に承継させることによって行われます。
合併
 複数の会社が1つの会社になることをいい、権利義務が包括的に承継されます。
 合併には吸収合併新設合併があります。
 
 吸収合併とは:既存の会社同士がする合併であって、消滅会社の権利義務の全部を
          存続会社に承継させるもの
 新設合併とは:消滅会社の権利の全部を合併により新設する会社(新設会社)に承継
          させるもの

 ※ 合併は権利義務が「包括的」に承継される点が事業承継とは異なります。
 ※ 合併は権利義務が「包括的」に承継される点で相続に似ています。
解散・清算(法人格の消滅)
 株式会社は解散後、原則として清算手続きをしなければなりません。
 清算をする会社は、清算の目的の範囲内で、清算が行われるまで存続します。ただし、合併の場合には、権利義務が包括的に承継されますので、清算手続きは行われません。
 なお、破産の場合には、破産法にしたがって清算手続きが行われ、破産手続き開始決定を受けた会社は、清算の目的の範囲内で存続するものとみなされます(破産法35条)。

 <原則>
 ・解散後清算中
  →清算の目的の範囲内で法人格を有します。
 ・清算の結了により
  →法人格は消滅します。
 <合併による解散の場合>
  解散により消滅会社(合併により消滅する会社)の法人格は消滅します。

★清算人の職務
 ・現務の結了
 ・債権の取立て及び債務の弁済
 ・残余財産の分配
組織形態
 会社法上の会社は、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類があります。
 合同会社、合資会社、合名会社を総称して持分会社といいます。

★各組織形態の特徴
 ・株式会社
  有限責任社員、株式譲渡の自由
 ・合同会社
  有限責任社員、持分譲渡の制限
 ・合資会社
  有限責任社員および無限責任社員、持分譲渡の制限
 ・合名会社
  無限責任社員、持分譲渡の制限


 手形・小切手法

 ・手形には債権回収を確実にするという役割もあります。

手形の種類・流れ
 手形には「約束手形」と「為替手形」がありますが、両者はほとんど異ならないため、約束手形を中心に説明します。

 約束手形:振出人自らが支払を約束する手形
 為替手形:支払人に支払を委託する手形

 手形は振出し(権利の発生)→裏書(移転)→支払(消滅)という流れになります。
 
 ※ 為替手形では、上記の流れに、引受けが加わります。
手形の振出し
 振出しは、手形を作成し、それを交付することによって行います。
 手形に記載すべき事項(必要的記載事項)を一つでも欠くと、原則として手形の効力は発生しません。
 必要的記載事項のほか、有益的記載事項(記載によって効力が発生する事項)、無益的記載事項(記載しても効力は発生しない事項)、有害的記載事項(記載によって手形全体が無効となる事項)があります。

★必要的記載事項
・約束手形文句
(為替手形の場合には為替手形文句)
・一定金額を支払うべき旨の単純なる約束
(為替手形の場合には一定金額を支払うべき旨の単純なる委託)
・満期の表示
・支払をなすべき旨の表示
・支払を受けまたはこれを受ける者を指図する者(受取人)の名称
・手形の振出日・振出地の表示
・手形を振出す者(振出人)の署名

 ※ 為替手形の場合には、以上に加えて「支払をなすべき者(支払人)の名称」の
   記載が必要です。

★白地手形
 必要的記載事項が欠けている手形であっても、振出人が手形取得者に補充させる意思で振り出した場合、その記載の補充がなされれば有効となります。

★統一手形用紙
 手形を振り出す場合、現実には統一手形用紙を用いますが、必要的記載事項が記載されている限り、統一手形用紙を利用しなくても、法律上無効とはなりません。
手形の裏書
 裏書により、手形により生ずる一切の権利が裏書人から被裏書人に移転します。このような裏書による権利の譲渡を「裏書譲渡」といいます。

★手形の指図証券性とその例外
 手形は指図式にて振り出さなくても当然に裏書譲渡できます。ただし、振出人が「指図禁止」の記載をした場合には、裏書譲渡をすることはできず、債権譲渡に関する方式・効力(民法467条以下)によってのみ譲渡することができます。

★白地式裏書
 白地式裏書とは、被裏書人を指定しない裏書または単に裏書人の署名のみによる裏書をいいます。つまり、被裏書人の記載のない裏書です。

★手形の善意取得等
 裏書の連続がある手形を所持する者は、手形上の権利者であると推定されます。
 裏書の連続がある手形を譲り受けた者は、譲渡人が無権利であっても、無権利であることを知らず、かつ、知らないことに重過失がないときは、手形上の権利を取得できます。

★人的抗弁の切断
 善意の手形取得者(被裏書人)は、債務者が取得者の前者(裏書人)に対して有する人的抗弁をもって対抗されません。これを「人的抗弁の切断」といいます。
 
 ※人的抗弁とは、特定の所持人に対してのみ対抗できる抗弁をいいます。
  例→手形外の原因関係に取消しまたは解除の事由がある場合
     この場合、直接の相手方または悪意の取得者にのみ対抗できます。
手形の支払
 手形所持人は手形を呈示することによって、その支払を受けることができます。

★支払呈示期間
・確定日払、日付後定期払、一覧後定期払の場合
 →支払をなすべき日またはこれに次ぐ2取引日
・一覧払の場合
 →手形の呈示があるときに支払われます(原則として振出日より1年以内)。

★支払呈示の効果
 支払呈示期間内に支払呈示をすることにより遡求義務者に対する訴求権を保全できます。裏を返せば、支払呈示期間経過後は、裏書人などの遡及義務者に対して遡求できなくなるということです。もっとも、支払呈示期間経過後も、約束手形の振出人は手形債務が時効により消滅しない限り手形金を支払う義務を負います。

★支払免責
 裏書の連続のある手形の場合、無権利者に対する支払であっても、支払人に悪意または重過失がない限り、支払人はその責任を免れます。
為替手形の特徴(約束手形とは異なる点)

 為替手形では「支払人」が登場します。

★支払人の支払義務
 支払人は「引受け」によって初めて支払義務を負います。
 為替手形の所持人または占有者は、満期まで支払人に引受けを求めるために、手形を呈示することができます。

★振出人・裏書人の責任
 支払人が支払または引受けを拒絶したときは、振出人および裏書人は遡求義務を負います。
小切手

★小切手の一覧払性
 小切手は現金と同様の決済機能をもっており、必ず一覧払い(支払呈示をすれば直ちに支払を受けられるもの)でなければなりません。
 そのため、一覧払性に反する記載は認められず、実際に振出した日より先の日を振出日として記載されていた場合であっても、小切手の所持人はその振出日前に支払呈示をすることができ、支払呈示を受けた時点で支払われなければならないとされています。

★引受けの禁止
 小切手では、引受けが禁止され、引受けの記載をしても、引受けの記載がないものとして扱われます。小切手全体が無効となるのではないことに注意してください。

★小切手の支払呈示期間
 小切手は振出しから10日以内に支払呈示をしなければなりません。もっとも、通常、実務においては、支払呈示期間経過後も、振出人が支払委託を取り消さない限り、支払われます。

★振出人・裏書人の責任
 支払が拒絶されたときは、振出人および裏書人は遡求義務を負います。

★線引小切手
 線引小切手とは、小切手の表面に2本の平行線を引いたものをいいます。
 線引小切手は、銀行と取引関係にない者への支払を禁止することによって、不正な小切手取得者への支払を防止する機能があります。

★預手(預金小切手)
 預金小切手とは、銀行等の金融機関が自行を支払人として振り出す自己宛小切手のことをいいます。預金小切手は、金融機関が振出人兼支払人となるため、不渡りの危険がほとんどないものとして利用されています。
不渡りによる取引停止処分
 手形・小切手について、1回目の不渡りから6カ月以内にに2回目の不渡りを出した場合(銀行から手形交換所に不渡届が提出された場合)には、「取引停止処分」を受けます。これにより手形交換所の参加銀行との間で、当座勘定及び貸出しの取引ができなくなります。


 電子記録債権法

 ・手形と類似しています。

電子記録債権法の実体面における特徴
 電子記録(発生記録)によって電子記録債権という債権が発生し(電子記録債権法15条)、その電子記録債権の譲渡も電子記録(譲渡記録)によってその効力が発生します(同法17条)。
 つまり、電子記録は効力発生要件であると言えます。

 善意取得(同法19条)や人的抗弁の切断(同法20条)、支払免責(同法21条)など、手形法類似の規定がいくつもあります。
 また、電子記録債権の内容は記録(文言)のみによって決定さたり(電子記録債権法9条1項)、電子記録債権の消滅時効が3年になっていたりと(同法23条)、手形法と比較してみるとおもしろいですね。
電子記録債権法の手続面における特徴
 電子記録の請求は原則として電子記録権利者と電子記録義務者の双方によってなされなければならないとされている(同法5条1項、共同請求の原則)。この原則は、虚偽の電子記録がなされることを防ぎ、電子記録の真正を担保するためにあると言えます。


 不正競争防止法

不正競争防止法の目的
 不正競争防止法は、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講ずるで、国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。
不正競争とは
 不正競争とは、@「他人の商品・営業と誤認されるような表示行為」やA「営業秘密を不正な手段によって取得・使用・開示する行為」などをいいます。

 ※ 貸金業務では、@は広告の表示などにおいて、Aは顧客情報の管理において
   問題になります。
 ※ 営業秘密には顧客名簿等も含まれますが、営業秘密といえるためには、名簿
   等の情報が事業活動に有用であり、秘密に管理されていることが必要です。
不正競争に対する措置

★差止請求・損害賠償請求
 不正競争によって営業上の利益を侵害され、または、侵害されるおそれのある者は、侵害者等に対し、その損害の防止または予防を請求できます。
 また、侵害者の故意または過失によって損害を受けた者には、その侵害者に対して損害賠償請求をすることができます。

★信用回復措置
 故意または過失により不正競争を行って他人の営業上の信用を害した者は、裁判所により信頼を回復するための措置を命ぜられることがあります。

★罰則
 詐欺・暴行・脅迫の行為、営業秘密が管理されている施設への侵入、不正アクセス禁止法より禁止されている不正アクセス行為などにより取得した「営業秘密」を、不正競争の目的で、使用し、または、開示した場合には、罰則が科せられます。


 民事訴訟法

 実体法(民法等)に基づく権利を実現する手続きの流れは、次のようになります。

 民事保全(権利実現の保全)民事訴訟(権利の確定)民事執行(権利の実現)

民事訴訟法とは
 民事執行法は、判決などで権利を確定するための手続きを規定した法律です。

★民事訴訟の主な流れ


 訴えの提起→口頭弁論→判決等→(上訴)→判決の確定


 民事執行法

 民事保全(権利実現の保全)民事訴訟(権利の確定)民事執行(権利の実現)

民事執行法とは
 民事執行法は、判決などで確定した権利を実現するための手続きを規定した法律です。

★民事執行法における手続きの種類
民事執行法の定める手続きには次の種類があります。
@強制執行(金銭執行・非金銭執行))
A担保権の実行
B形式的競売
C財産開示手続き

 ※ 金銭執行はさらに「不動産執行」「動産執行」「債権執行」等に分けることが
   できます。

★金銭執行の流れ
 申立て→差押え換価配当または弁済金の交付

★執行機関の例
・不動産執行の場合→執行裁判所
・動産執行の場合→執行官
・債権執行の場合→執行裁判所
強制執行の実施(債務名義・執行文の付与)

 強制執行は、執行文の付与された債務名義の正本に基づいて実施されます。

★債務名義
 債務名義には次の種類があります。
@確定した給付判決
A仮執行宣言付き判決
B抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判
C仮執行宣言付き支払督促
D訴訟・和解・執行の費用の負担等の額を定める裁判所書記官の処分
E執行証書(強制執行認諾文言付きの公正証書のことです。)
F確定した執行判決のある外国裁判所の判決
G確定した執行決定のある仲裁判断
H確定判決と同一の効力を有するもの(和解調書、請求の認諾調書、調停調書など)

★執行文の付与
 執行文の付与は裁判所書記官(執行証書以外の場合)または公証人(執行証書の場合)によって行われます。
 執行文の付与に関連して納得できない事柄がある場合には、「執行文付与等に対する異議の申立て」「執行文付与の訴え」「執行文付与に対する異議の訴え」ができます。

★執行文の種類
 執行文の種類には次の種類があります。
@単純執行文
A条件成就執行文
 停止条件の成就、不確定期限の到来により付与される執行文
B承継執行文
 債務名義に表示された債権者・債務者から地位を承継した場合に付与される執行文
強制執行に関する異議・訴え

 執行手続きが違法である場合、「執行抗告」や「執行異議」を行うことができます。
 実体関係に問題があって執行が不当である場合、「請求異議の訴え」や「第三者異議の訴え」を行うことができます。

★請求異議の訴え
 債権が消滅しているなど、債務名義の存在・内容に異議がある場合、あるいは債務名義の成立に異議がある場合において、債務者がその債務名義による強制執行の不許を求めるために提起する訴えです。

★第三者異議の訴え
 強制執行の目的物の所有権を第三者が有している場合や占有権を第三者が有している場合などにおいて、第三者が債権者に対し強制執行の不許を求めるために提起する訴えです。
担保権の実行
 抵当権等の担保権に基づき実施される「担保不動産競売」や「担保不動産収益執行」の手続きは、強制執行の手続きに準じて行われますが、強制執行と異なり債務名義を必要としません
財産開示手続き
 債権者が債務者の財産状況を把握するための制度として、財産開示手続きが定められています。


 民事保全法

 民事保全(権利実現の保全)民事訴訟(権利の確定)民事執行(権利の実現)

民事保全法とは
 民事訴訟では判決が出るまで時間がかかるため、判決がなされるまでの間に債務者による財産の処分・隠匿などがなされるおそれがあり、強制執行をしても現実に債権の回収ができないなどの不都合が生じることがあります。
 そこで、民事保全法は、将来の強制執行等に備えるため、民事訴訟(本案)により確定される権利の実現を保全するための手続きを規定しています。
民事保全の種類
 民事保全には、「仮差押え」と「仮処分」があります。
 仮処分は、さらに、「係争物に関する仮処分」と「仮の地位を定める仮処分」に分かれます。

★仮差押え
 将来の強制執行に備えて、本案の権利である金銭債権(金銭の支払を目的とする債権)の執行を保全するための手続きです。
★係争物に関する仮処分
 将来の強制執行に備えて、本案の係争物である不動産の登記請求権や建物収去土地明渡請求権などの執行を保全するための手続きです。「処分禁止の仮処分」や「占有移転禁止の仮処分」などがあります。
★仮の地位を定める仮処分
 役員(取締役など)の職務執行停止の仮処分や代行者選任の仮処分、解雇された者が従業員としての地位を保全するために行う仮処分などがあります。
民事保全手続きの流れ
  
  保全命令手続き→保全執行手続き

★保全命令手続き
 保全命令手続きは、「保全すべき権利・権利関係」及び「保全の必要性」を確認し、保全命令(仮差押命令・仮処分命令)を発する手続きです。申立人は、「保全すべき権利・権利関係」及び「保全の必要性」を疎明しなければなりません。
★保全執行手続き
 保全執行手続きは、保全命令の内容を実現する手続きです。この手続きは、保全命令の正本に基づいて実施され、原則として執行文の付与は不要です。


 ADR法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)

ADRとは
 ADR(裁判外紛争解決手続)とは、裁判外において、公正な第三者の関与のもと、紛争解決を目指す手続きの総称です。ADRには、仲裁、調停、あっせんなどがあります。
認定紛争解決事業者
 和解の仲介(調停、あっせんなど)の業務に関して、法務大臣の認証を受けた「認証紛争解決事業者」を利用すると、時効が中断したり、訴訟手続を中止できるなどのメリットがあります。

 ※ ADR法によって認証を受けていない団体による和解の仲介が禁止されるわけでは
   ないことに注意してください。

 なお、認証の対象は和解の仲介業務のみであり、仲裁業務は認証の対象ではありません。仲裁に関しては仲裁法により時効中断の法的効果が認められています。


 民事調停法

調停手続きとは
 調停手続きとは、第三者(調停委員など)の関与のもと当事者間の合意の成立によって紛争解決を目指す手続きです。

 ※ 第三者の関与がある点で、和解契約とは異なります。
 ※ 当事者間の合意の成立が前提となる点で、裁判官の判断(判決)に拘束される
   裁判とは異なります。
民事調停の管轄・管轄
 民事調停は、簡易裁判所で扱われ、原則として裁判官である調停主任と調停委員によって構成される調停委員会の関与によって行われます。
合意が成立した調停調書の効力
 合意の内容を記載した調停調書は確定判決と同一の効力を持ちます。
 この調停調書を債務名義として強制執行を申し立てることもできます。


 破産法

 破産手続きは、清算型の倒産手続きです。

破産手続きの目的と流れ
 破産手続きとは、債務者が債務を弁済できない状態(正確には「支払不能」または「債務超過」の状態)に陥った場合に、総債権者の公平を図るために行う清算手続きです。
 破産には、債務者の経済的な再生の機会を図るという目的もあります。

★破産手続きの流れ
申立て→開始決定→債権の届出・調査・確定、財産の管理・換価→配当・終結
破産手続開始の申立て
 破産手続開始の申立ては、債権者または債務者が行うことができます。
 法人の破産手続きの場合には、取締役なども申立てを行うことができます。
 
 債権者が申立てをするときには、「破産手続開始原因」となる事実を疎明しなければなりません。債権者による疎明を要求するのは債権者による破産手続の濫用を防止するためです。
 
★破産手続開始原因とは
 債務者が個人の場合には支払不能
 債務者が法人の場合には支払不能または債務超過
破産手続開始の決定とその効果
 破産手続開始の原因がある場合、前述の破産手続開始の申立てにより、破産手続開始の決定がなされます。
 破産手続開始により、債務者(決定により「破産者」となる。)は財産の管理処分権を失い破産管財人にその管理処分権が専属することになります。なお、借財などをする場合には「裁判所の許可」が必要になる場合もあります。
 また、開始後は、債権者は原則として破産手続きによらなければ権利を行使することができず、強制執行等も禁止されます。
担保権の取扱い
 破産手続開始後も、抵当権等の担保権は「別除権」として破産手続きによらずに行使することができます。
 ただし、「担保権消滅許可制度」があります。

 ※ 別除権者はその権利の行使によって弁済を受けられなかった債権額について
   のみ、破産債権者としてその権利を行使できます。
免責手続き
 個人である破産者は免責許可の申立てをすることができます。

 ※ 法人は免責許可の申立てをすることはできません。なぜなら、破産手続きでは、
  法人は清算し、消滅するのであるから、免責を認める必要はないからです。

 債務者が破産手続開始の申立てをした場合には、当該申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなされ、免責不許可事由がない限り、免責許可決定がなされます。

★免責不許可事由(一部)
 ・財産を隠匿するなどしたとき
 ・浪費または賭博によって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担したとき
 ・以前に免責を受けてから7年が経過しないとき

復権
 免責許可の決定が確定したとき、破産者は復権します。
 
 ※ 破産者は貸金業の登録を受けることはできませんが、復権により登録を受けること
   ができるようになります(貸金業法6条2号)。


 民事再生法

 民事再生手続きは、再建型・DIP型の倒産手続きです。

再生手続きの目的と流れ
 再生手続きとは、経済的に窮境にある債務者について、再生計画を定める等により、債務者と債権者の関係を適切に調整し、もって債務者の事業または経済生活の再生を図る手続きです。

 * 事業の継続が目的である点で破産手続きとは異なります。

★再生手続きの流れ
申立て→開始決定→債権の届出・調査・確定→計画の決議・認可→計画の遂行
再生手続開始の申立て
 再生手続開始の申立ては、債権者または債務者が行うことができます。
 
 申立てをするときには、「再生手続開始原因」となる事実を疎明しなければなりません。
 債権者が申立てををするときには、さらに「債権の存在」を疎明しなければなりません。

 ★再生手続開始原因とは
 ・破産手続開始原因となる事実の生ずるおそれのあるとき
 ・債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが
 できないとき


 ※ 再生手続きでは破産手続きよりも早い段階(「おそれ」の段階)で申立てをすること
   ができます。
再生手続開始の決定とその効果
 再生手続開始の原因がある場合、前述の再生手続開始の申立てにより、再生手続開始の決定がなされます。
 再生手続開始後も、原則として再生債務者はその業務を遂行し、その財産の管理処分権を有します。ただし、管財人が選任された場合には、債務者の業務・財産の管理は管財人が行います。なお、借財などをする場合には「裁判所の許可」が必要になる場合もあります。
 開始後は、債権者は原則として再生計画にしたがって弁済を受けなければならず、強制執行等は禁止されます。
担保権の取扱い
 再生手続開始後も、抵当権等の担保権は「別除権」として再生手続きによらずに行使することができます。
 ただし、「担保権の実行手続の中止命令」や「担保権消滅許可制度」があります。

 ※ 別除権者はその権利の行使によって弁済を受けられなかった債権額について
   のみ、再生債権者としてその権利を行使できます。
 
再生債権の免責
 再生計画認可の決定が確定したときは、再生計画にしたがって債務の弁済がなされることになり、再生債務者は罰金等を除くすべての再生債権についてその責任を免れる。


 会社更生法

 会社更生手続きは、再建型・管理型の倒産手続きです。

更生手続きの目的と流れ
 更生手続きとは、窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図る手続きです。

 ※ 更生手続きは再建型手続きであるため、計画により事業維持を図る点で民事
   再生手続きと同じですが、管理型手続きであるため、管財人が必ず選任され
   る
など点において、DIP型手続きである民事再生手続きとは異なります。
 ※ 株主も更生手続きに参加できます。

★更正手続きの流れ
申立て→開始決定→債権・担保権の届出・調査・確定→計画の決議・認可→計画の遂行
更生手続開始の申立て
 株式会社は更生手続開始の申立てをすることができます。
 一定の要件のもと、株主による申立てもできます。
 
 申立てをするときには、「更生手続開始原因」となる事実を疎明しなければなりません。
 
 ★更生手続開始原因とは
 ・破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがある場合
 ・弁済期にある債務を弁済することとすれば、その事業の継続に著しい支障を来す
  おそれがある場合
更生手続開始の決定とその効果
 更生手続開始の原因がある場合、前述の更生手続開始の申立てにより、更生手続開始の決定がなされます。
 更生手続開始後は、会社の事業経営権と財産の管理処分権は管財人に専属します。なお、借財などをする場合には「裁判所の許可」が必要になる場合もあります。
 また、開始後は、債権者は原則として更生計画にしたがって弁済を受けなければならず、強制執行等は禁止されます。
担保権の取扱い
 更生手続開始後、担保権は更正担保権として扱われ、更生手続きにしたがうことになります。そのため、更生手続きでは、民事再生手続とは異なり担保権の実行が禁止されます
 更生手続きも、民事再生手続と同様に「担保権消滅許可制度」はあります。


 会社法(特別清算)

特別清算手続きとは
 特別清算手続きとは、会社に債務超過の疑いがあるときなどに、会社法の規定により、裁判所の監督のもとに行われる清算手続きです。

 * 特別清算手続きは、その手続きの利用が解散した株式会社に限定される点や
   手続開始原因などについて、破産手続きと異なります。
    また、裁判所の監督のものに行われる点や手続の開始原因が必要である点に
   ついて、前述した会社法の通常清算手続きと異なります。
特別清算開始の申立て
 特別清算開始の申立ては、債権者清算人監査役株主が行うことができます。
 
 債務超過の疑いがあるときは、清算人は手続開始の申立てをしなければなりません。
特別清算開始の命令とその効果
 特別清算開始の原因がある場合、前述の特別清算開始の申立てにより、特別清算開始の命令がなされます。
 特別清算開始後は、清算人が清算事務を行い、債権者による強制執行等は禁止されます。

 ★特別清算開始原因とは
 ・清算の遂行に著しい支障をきすべき事情があること
 ・債務超過の疑いがあること

★清算株式会社の行為の制限
 特別清算開始の命令があった場合、借財などについては、監督委員が選任されている場合を除き「裁判所の許可」を得なければなりません。
 監督委員が選任されているときには、「監督委員の同意」を得ればよいのです。
担保権の取扱い
 特別清算開始後も、抵当権等の担保権は原則としてその実施をすることができます。
 ただし、裁判所により「担保権の実行手続の中止命令」がなされることもあります。


 特定調停法(特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律)

特定調停手続きとは
 特定調停手続きとは、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生を図り、当該債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進するために、民事調停法の特例として行われる調停手続きです。
特定調停手続開始の申立て
 特定債務者は、特定債務等の調整に係る調停の申立てをするときは、特定調停手続により調停を行うことを求めることができます。

★特定債務者とは
  特定債務者とは、金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのある
 もの若しくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済
することが困
 難であるもの又は債務超過に陥るおそれのある法人をいいます。

民事執行手続きの停止
 裁判所は特定調停の成立を不能にし若しくは著しく困難にするおそれがあるとき、又は特定調停の円滑な進行を妨げるおそれがあるときは、申立てにより、民事執行の手続の停止を命ずることができます。
当事者の責務・文書等の提出
 当事者は、調停委員会に対し、債権又は債務の発生原因及び内容、弁済等による債権又は債務の内容の変更及び担保関係の変更等に関する事実を明らかにしなければなりません。
 また、調停委員会は、特定調停のために特に必要があると認めるときは、当事者又は
参加人に対し、事件に関係のある文書又は物件の提出を求めることができます。
 正当な理由なく、
この文書等の提出要求を拒んだ場合には、過料に処せられます。
特定調停の不成立
 特定調停も調停手続きである以上、その成立には調停の相手方である債権者の同意が必要です。したがって、全債権者の個別的な同意がなく、合意が成立する見込みがない場合には、裁判所は事件を終了することができます。
 また、成立した合意が公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものであるとは認められない場合にも、裁判所は事件を終了することができます。
 


 暴力団対策法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)

暴力的要求行為の禁止
 指定暴力団員は、その者の所属するまたはその系列上位の指定暴力団等の威力を示して「暴力的要求行為」をしてはいけません。
 また、どんな人であっても、指定暴力団員に対し、暴力的要求行為をすることを要求し、依頼し、又は唆してはなりませんし、指定暴力団員が暴力的要求行為をしている現場に立ち会って当該暴力的要求行為をすることを助けてはなりません。

★暴力的要求行為
・口止め料を要求すること
・金品等の贈与を強要すること
・請負、委任の発注者・受注者に対して、受注、役務提供の受入れ等を強要すること
縄張内での営業者に対し、営業を容認への金品等の供与を要求すること
縄張内での営業者に対し、入場券等の購入、用心棒代を要求すること
・利息制限を超える利息の支払等を要求すること
・人から依頼を受け、不当な取立て行為をすること
・人に対し、債務の全部又は一部の免除又は履行の猶予を強要すること
・金銭貸付業者に対し、著しく有利な条件による金銭の貸付けを要求すること
・証券会社に対し、著しく有利な条件により有価証券の信用取引を要求すること
・株式会社・その子会社に対し、株式の買取り等を強要すること
・正当な権原に基づいて建物・敷地を利用している者に対し、明渡しを強要すること
・明渡し料等の供与を要求すること
・人から依頼を受け、示談交渉を行い、損害賠償金を要求すること
・交通事故や商品の欠陥等がないにもかかわらず、損害賠償金等を要求すること
準暴力的要求行為の要求等の禁止
 指定暴力団員は、人に対し、当該指定暴力団員が所属する指定暴力団等又はその系列上位指定暴力団等に係る準暴力的要求行為(暴力団員以外の者が、指定暴力団等の威力を示して「暴力的要求行為」をすること)をすることを要求し、依頼し、又は唆してはなりません。
暴力的要求行為等に対する措置・罰則
 暴力的要求行為等に対して、公安委員会は、中止命令等の措置を講ずることができ、中止命令等の違反者には、罰則が科せられます。


 犯罪収益移転防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)

犯罪収益移転防止法の概要
特定事業者(貸金業者等)には、
本人確認
本人確認記録の作成・保存(取引に係る契約の終了から7年間保存)
取引記録等の作成・保存(取引の行われた日から7年間保存)
疑わしい取引の届出(司法書士等の士業者を除く)
が義務づけられます。

義務違反の場合には、罰則等が科せられます。
本人確認が必要となる取引
 金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介手形の割引売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又は当該方法によってする金銭の授受の媒介を含む。)を内容とする契約の締結などの場合などに、本人確認が必要となります。
本人確認方法(確認書類)

★個人の場合
 運転免許証、保険証、年金手帳、児童扶養手当証書、母子健康手帳、旅券、
住民基本台帳カード、外国人登録証明書など。

★法人の場合
 登記事項証明書、印鑑登録証明書など
特定事業者の免責
 特定事業者は、顧客等が本人確認に応じない場合には応じるまでの間、取引に係る義務の履行を拒むことができます。


 刑法

 犯罪となる行為にはさまざまなものがありますが、貸金業務取扱主任者資格試験では、常識で判断すればよいでしょう。

犯罪行為
 具体的な行為がどのような犯罪になるのか、おさえておきましょう。

・戸籍謄本、住民票、免許証などを偽造した場合、「公文書偽造罪」が成立します。偽造された戸籍謄本等を使用した場合、「偽造公文書行使罪」が成立します。
・公務員に対し虚偽の申立てをして登記簿、戸籍簿、公正証書などに不実の記載・記録をさせた場合、「公正証書原本不実記載罪」が成立します。
・他人名義の借用書や契約書などを無断で作成した場合、「私文書偽造罪」が成立します。偽造された借用書などを使用した場合、「偽造私文書行使罪」が成立します。
・クレジットカードやキャッシュカードなどの電磁的記録を不正に作った場合、「支払用カード電磁的記録不正作出罪」が成立します。不正に作られたカードをATMなどで利用したり、譲り渡したり、貸し渡したり、輸入したり、所持したりする行為も犯罪です。
・法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をした場合、「偽証罪」が成立します。ここでの「虚偽の陳述」とは、証人の記憶に反することをいいますので、たとえその陳述が真実であっても記憶に反することを陳述すれば犯罪です。
・虚偽の噂を流したり、だましたり、威力を用いるなどして、他人の業務を妨害した場合、「業務妨害罪」が成立します。借主の会社で威勢をふるってその業務を妨害する場合がその例です。
・債権者が債務者をだまして本来の利息を超える利息を支払わせる行為やだまして債務の弁済をさせる行為なども、「詐欺罪」が成立する可能性があります。
・債権者が債務者に対し、脅迫して債務の弁済をさせる行為も、「脅迫罪」が成立する可能性があります。
・貸金業者の職員が債権回収の見込みがないのに融資を行った場合、その職員に「背任罪」が成立する可能性があります。
・貸金業者の職員が債務の弁済として債務者から受け取った金銭を勝手に使用した場合、その職員に「横領罪」が成立します。後で貸金業者に返すつもりで回収金を一時的に使用した場合であっても、犯罪となることがあります。

★共犯
 犯罪を共同で実行した者も同様に処罰されることはもちろんですが、犯罪をそそのかしたり、犯罪を助けたりした者も、教唆犯幇助犯として処罰されます。
★未遂
 犯罪の結果が発生しなかった場合、たとえば、だましたが金銭を受け取ることができなかった場合であっても、未遂犯として処罰される場合があります。
★犯罪の不成立
 正当行為や正当防衛、緊急避難に該当する行為に、犯罪は成立しません。また、心神喪失者や刑事未成年者(14歳未満)の行為にも、犯罪は成立しません。
 なお、刑法等の法律を知らなくても、犯罪となります。
★刑の減免
 過剰防衛や過剰避難の場合には刑が減軽され、または免除されることがあります。自首した場合、刑が減軽されることがあります。
 心神耗弱者の行為は、必ず刑が減軽されます。
 未遂犯の場合には、刑が減軽されることがあります。未遂犯が自己の意思により犯罪を中止した場合には、刑が減軽または免除されます。


 不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)

不正アクセス禁止法の概要
 「不正アクセス行為」や「不正アクセス行為を助長する行為」が禁止され、これに違反すると罰則が科せられます。
不正アクセス行為の禁止
 不正アクセス行為とは、電気通信回線(ネットワーク)を通じて無断で他人の識別符号(IDやパスワード等)を利用するなどして、アクセス制御機能により制限されているものを利用できる状態にする行為をいい、このような行為は禁止されています。
不正アクセス行為を助長する行為の禁止
 不正アクセス行為を助長する行為とは、無断で他人の識別符号(IDやパスワードなど)を第三者に提供する行為をいい、このような行為は禁止されています。

 ※ 第三者から識別符号提供の見返り(金銭の交付等)を受けない場合であっても、
   同様に禁止されます。




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