 |
手形の種類・流れ
手形には「約束手形」と「為替手形」がありますが、両者はほとんど異ならないため、約束手形を中心に説明します。
約束手形:振出人自らが支払を約束する手形
為替手形:支払人に支払を委託する手形
手形は振出し(権利の発生)→裏書(移転)→支払(消滅)という流れになります。
※ 為替手形では、上記の流れに、引受けが加わります。
|
 |
手形の振出し
振出しは、手形を作成し、それを交付することによって行います。
手形に記載すべき事項(必要的記載事項)を一つでも欠くと、原則として手形の効力は発生しません。
必要的記載事項のほか、有益的記載事項(記載によって効力が発生する事項)、無益的記載事項(記載しても効力は発生しない事項)、有害的記載事項(記載によって手形全体が無効となる事項)があります。
★必要的記載事項
・約束手形文句
(為替手形の場合には為替手形文句)
・一定金額を支払うべき旨の単純なる約束
(為替手形の場合には一定金額を支払うべき旨の単純なる委託)
・満期の表示
・支払をなすべき旨の表示
・支払を受けまたはこれを受ける者を指図する者(受取人)の名称
・手形の振出日・振出地の表示
・手形を振出す者(振出人)の署名
※ 為替手形の場合には、以上に加えて「支払をなすべき者(支払人)の名称」の
記載が必要です。
★白地手形
必要的記載事項が欠けている手形であっても、振出人が手形取得者に補充させる意思で振り出した場合、その記載の補充がなされれば有効となります。
★統一手形用紙
手形を振り出す場合、現実には統一手形用紙を用いますが、必要的記載事項が記載されている限り、統一手形用紙を利用しなくても、法律上無効とはなりません。
|
 |
手形の裏書
裏書により、手形により生ずる一切の権利が裏書人から被裏書人に移転します。このような裏書による権利の譲渡を「裏書譲渡」といいます。
★手形の指図証券性とその例外
手形は指図式にて振り出さなくても当然に裏書譲渡できます。ただし、振出人が「指図禁止」の記載をした場合には、裏書譲渡をすることはできず、債権譲渡に関する方式・効力(民法467条以下)によってのみ譲渡することができます。
★白地式裏書
白地式裏書とは、被裏書人を指定しない裏書または単に裏書人の署名のみによる裏書をいいます。つまり、被裏書人の記載のない裏書です。
★手形の善意取得等
裏書の連続がある手形を所持する者は、手形上の権利者であると推定されます。
裏書の連続がある手形を譲り受けた者は、譲渡人が無権利であっても、無権利であることを知らず、かつ、知らないことに重過失がないときは、手形上の権利を取得できます。
★人的抗弁の切断
善意の手形取得者(被裏書人)は、債務者が取得者の前者(裏書人)に対して有する人的抗弁をもって対抗されません。これを「人的抗弁の切断」といいます。
※人的抗弁とは、特定の所持人に対してのみ対抗できる抗弁をいいます。
例→手形外の原因関係に取消しまたは解除の事由がある場合
この場合、直接の相手方または悪意の取得者にのみ対抗できます。
|
 |
手形の支払
手形所持人は手形を呈示することによって、その支払を受けることができます。
★支払呈示期間
・確定日払、日付後定期払、一覧後定期払の場合
→支払をなすべき日またはこれに次ぐ2取引日
・一覧払の場合
→手形の呈示があるときに支払われます(原則として振出日より1年以内)。
★支払呈示の効果
支払呈示期間内に支払呈示をすることにより遡求義務者に対する訴求権を保全できます。裏を返せば、支払呈示期間経過後は、裏書人などの遡及義務者に対して遡求できなくなるということです。もっとも、支払呈示期間経過後も、約束手形の振出人は手形債務が時効により消滅しない限り手形金を支払う義務を負います。
★支払免責
裏書の連続のある手形の場合、無権利者に対する支払であっても、支払人に悪意または重過失がない限り、支払人はその責任を免れます。
|
 |
為替手形の特徴(約束手形とは異なる点)
為替手形では「支払人」が登場します。
★支払人の支払義務
支払人は「引受け」によって初めて支払義務を負います。
為替手形の所持人または占有者は、満期まで支払人に引受けを求めるために、手形を呈示することができます。
★振出人・裏書人の責任
支払人が支払または引受けを拒絶したときは、振出人および裏書人は遡求義務を負います。
|
 |
小切手
★小切手の一覧払性
小切手は現金と同様の決済機能をもっており、必ず一覧払い(支払呈示をすれば直ちに支払を受けられるもの)でなければなりません。
そのため、一覧払性に反する記載は認められず、実際に振出した日より先の日を振出日として記載されていた場合であっても、小切手の所持人はその振出日前に支払呈示をすることができ、支払呈示を受けた時点で支払われなければならないとされています。
★引受けの禁止
小切手では、引受けが禁止され、引受けの記載をしても、引受けの記載がないものとして扱われます。小切手全体が無効となるのではないことに注意してください。
★小切手の支払呈示期間
小切手は振出しから10日以内に支払呈示をしなければなりません。もっとも、通常、実務においては、支払呈示期間経過後も、振出人が支払委託を取り消さない限り、支払われます。
★振出人・裏書人の責任
支払が拒絶されたときは、振出人および裏書人は遡求義務を負います。
★線引小切手
線引小切手とは、小切手の表面に2本の平行線を引いたものをいいます。
線引小切手は、銀行と取引関係にない者への支払を禁止することによって、不正な小切手取得者への支払を防止する機能があります。
★預手(預金小切手)
預金小切手とは、銀行等の金融機関が自行を支払人として振り出す自己宛小切手のことをいいます。預金小切手は、金融機関が振出人兼支払人となるため、不渡りの危険がほとんどないものとして利用されています。
|
 |
不渡りによる取引停止処分
手形・小切手について、1回目の不渡りから6カ月以内にに2回目の不渡りを出した場合(銀行から手形交換所に不渡届が提出された場合)には、「取引停止処分」を受けます。これにより手形交換所の参加銀行との間で、当座勘定及び貸出しの取引ができなくなります。
|