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最終更新日 2024/8/17
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◎ 平成29年度試験(第12回)過去問

※ 法改正により問題及び解説を変更しました

 問題35 改題


不当利得及び不法行為に関する次の①~④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Aは、法律上の原因なくBの財産又は労務によって利益を受け、そのためにBに損失を及ぼした場合、Aがそれらの事実を知らなかったときでも、その受けた利益に利息を付して返還する義務を負う。

② Aに借入金債務を負うBは、当該債務の弁済期が到来していないにもかかわらずAに弁済したときは、その弁済金の返還を請求することができない。ただし、Bが錯誤によってAにその弁済をしたときは、Aは、これによって得た利益を返還しなければならない。

③ Aは、自宅の建て替えの仕事をBに注文し、Bは、これを請け負った。この場合において、Bがその仕事の遂行において誤って第三者に損害を加えたときは、その仕事の注文又は指図についてAに何らの過失がなかったとしても、Aは、当該損害を賠償する責任を負う。

④ Aが、Bに対し、不法行為(人の生命又は身体を害する不法行為を除く。)に基づく損害賠償請求権を有する場合、A又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から1年間当該損害賠償請求権を行使しないときは、当該損害賠償請求権は時効によって消滅する。





 問題35 解答・解説

 「不当利得及び不法行為(民法)」に関する問題です。
(改訂第9版合格教本のP220、P223参照)

(第8版の合格教本をお持ちの方は、P218、P221参照)


①:×(適切でない)
 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下、「受益者」という)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負います。
悪意の受益者は、さらに、その受けた利益に利息を付して返還しなければなりません。
 本肢において、受益者Aは、事実を知らなかったというのであるから、悪意の受益者ではなく、利息を付して返還する必要はありません。


※ 法律上、「善意」とは、ある事実を知らないことをいい、「悪意」とは、ある事実を知っていることをいいます。
※ 改訂第9版合格教本P220「①不当利得の返還」参照。
※ 平成27年度試験・問題35の選択肢①の類似問題。

②:○(適切である)
 債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができません。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければなりません


※ 改訂第9版合格教本P220「(2)期限前の弁済」参照。

③:×(適切でない)
 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負いません。ただし、
注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、賠償責任を負います。
 よって、本肢は、注文者Aに何ら過失がなかったとしてもAは賠償責任を負うとしている点が誤りです。


※ 改訂第9版合格教本P223「(4)注文者の責任」参照。

④:×(適切でない)
 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から
3年間(人の生命又は身体を害する不法行為の場合は、5年間)行使しないときは、消滅します。また、不法行為の時から20年を経過したときも、不法行為による損害賠償請求権は消滅します。
 よって、本肢は、「1年間」となっている部分が誤りです。

※ 改訂第9版合格教本P223「(5)不法行為による損害賠償請求権の消滅時効」参照。
※ 平成23年度試験・問題38の選択肢①の類似問題。



正解:②



※ 参考までに、以下に、本試験問題を原文のまま掲載しました。
 通常は読む必要はありません。


平成29年度試験・問題35

不当利得及び不法行為に関する次の①~④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Aは、法律上の原因なくBの財産又は労務によって利益を受け、そのためにBに損失を及ぼした場合、Aがそれらの事実を知らなかったときでも、その受けた利益に利息を付して返還する義務を負う。

② Aに借入金債務を負うBは、当該債務の弁済期が到来していないにもかかわらずAに弁済したときは、その弁済金の返還を請求することができない。ただし、Bが錯誤によってAにその弁済をしたときは、Aは、これによって得た利益を返還しなければならない。

③ Aは、自宅の建て替えの仕事をBに注文し、Bは、これを請け負った。この場合において、Bがその仕事の遂行において誤って第三者に損害を加えたときは、その仕事の注文又は指図についてAに何らの過失がなかったとしても、Aは、当該損害を賠償する責任を負う。

④ Aが、Bに対し、不法行為に基づく損害賠償請求権を有する場合、A又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から1年間当該損害賠償請求権を行使しないときは、当該損害賠償請求権は時効によって消滅する。





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